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第2回 東京のマンションの投資妙味とは?

前回はマンション価格が高い都市には、「ロンドン・ニューヨーク型」と「香港・シンガポール型」があることをご説明しました。

「東京は何型?」

東京はどうでしょう。東京では高級住宅地であっても供給制約がある訳ではありません。千代田区や港区などの高級住宅地で、ここ10年ほどで多くの高層マンションが建ち上がったことを記憶されている方も多いはずです。従って東京は「ロンドン・ニューヨーク型」の市場とは異なります。

また東京では賃貸に住まわれる方も一定程度いらっしゃいますし、「家を持っていないと結婚できない」といった社会的な背景がある訳でもありません。したがって「香港・シンガポール型」の市場とも異なります。

そもそも二つの類型とも、共通して「マンションの価格は値上がりする」「マンションの価格は落ちない」との信念がマンションの価格を支えていますが、東京ではこうした信念が定着していません。東京でのマンション投資を考える上で、ここはとても重要なポイントです。大変残念ですが、東京では「安く買ったマンションを高値で売り抜ける」という投資機会は殆どありません。

「東京の賃貸市場」

一方、賃貸運用という観点からみると、東京はかなり有利な特徴を有しています。

まず利回りについては、「香港・シンガポール型」の市場において賃貸市場はあまり成熟しておらず、利回りの面で見劣りすることを押さえておきたいと思います。
これらの都市では持家志向が過度に強いため、賃貸住宅に対する国内需要が相対的に弱いのです。アジアの一部の都市では、マンションの利回りが当該国の国債利回りを下回る例すら散見されます。これに比べると、東京は一定程度の利回りを確保できる市場であるといえます。

次に賃貸市場の安定性について見てみます。「ロンドン・ニューヨーク型」の市場と比べて、東京の賃料は変動が小さいことが挙げられます。ロンドンにせよニューヨークにせよ、一定程度の利回りを確保きるという面では東京と共通しています。しかしこれらの都市はグローバル経済の急変に対して脆弱性があることが否めません。金融危機のような事態が生じると、外資系企業に勤める駐在員層の住宅手当が削減され、あるいは駐在員の数自体が削減され、そのことが賃貸市場を冷却化し、賃料を押し下げる、というリスクが高いのです。一方で東京の賃貸市場は国内需要の厚みがあります。リーマンショック後の賃貸市場を振り返っても、確かに外国人向け高級住宅の賃貸市場が冷え込んだことは事実ですが、東京全般の賃料が急落した、という現象は観察されていません。

ここまで、諸外国と比較した東京のマンション市場の特徴について述べてきました。これを改めて整理することで、東京のマンション投資を考える上で望ましい戦略が見えてきます。(次回に続く)

経済研究一筋!!市場分析のスペシャリスト

吉野 薫Kaoru Yoshino

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