不動産投資エリアとしての「東京」の魅力【プロが教える不動産投資コラム】

筆者は仕事上で30数年間、東京の街の変貌ぶりを目の当たりにしてきました。30数年前と比べるともちろん大きく変化していますが、近年ではさらにその変化が加速していると感じます。本年はいよいよ東京五輪開催の記念すべき年となります。もともと東京は世界的に見ても注目度が高い都市ですが、今年はかつてない程その注目度が上昇してくるのは必至です。不動産投資の立地としては、グローバルな視点から見ても優れているといえます。不動産投資をする上では短期的な視点だけではなく、長期の視点で投資判断をする事はとても大切です。ではあらためて東京が持つ都市力について人口や経済など様々な視点から検証してみましょう。
東京圏の人口は世界一
世界には巨大な都市が多くありますが、東京都の周辺部を合わせた東京圏は、実は世界一人口の多いエリアです。将来的にもトップであると予想されています。2030年において東京圏は1位と言えども若干人口減となっていますが、これは東京都の周辺部(千葉・埼玉)などのエリアの人口減が影響を与えると推測されます。つまり東京都の人口集積度は高い水準で推移すると考えられます。
■ 世界の巨大都市圏人口ランキングと2030年の推計
都市的集積地域(2014年) | 人口 | |
1位 | 東京(日本) | 3,780万人 |
2位 | 上海(中国) | 2,300万人 |
3位 | メキシコシティ(メキシコ) | 2,080万人 |
都市的集積地域(2030年) | 人口 | |
1位 | 東京(日本) | 3,720万人 |
2位 | デリー(インド) | 3,610万人 |
3位 | 上海(中国) | 2,780万人 |
出典:国連経済社会局 “World Urbanization Prospects, the 2014 Revision”/東京都
東京都への流入人口は日本一
このように東京及び周辺エリアは巨大な人口がある事が分かります。首都圏の中でも人口の移動は多く、東京都は流入人口が転出人口より多い「転入超過」となっています。総務省の人口移動報告から過去10年間の転入超過数を調べてみると東京都が最も多く、以下埼玉県、神奈川県、千葉県と続きます。首都圏の1都3県が最も転入超過数が多く、合計すると100万人を超えています。過去10年間において東京都のワンルームマンションの供給は累積で約6万戸となっています。もちろんワンルームマンション以外にも賃貸住宅は供給されていますが、駅近くの好立地の単身者向け住宅は圧倒的に少ない事が分かります。
■ 都道府県別転入超過数ランキング
都道府県 | 10年間の転入超過数の推移 | |
1位 | 東京都 | 66万3,127人 |
2位 | 埼玉県 | 14万3,458人 |
3位 | 神奈川県 | 13万7,890人 |
4位 | 千葉県 | 9万4,369人 |
5位 | 福岡県 | 5万3,219人 |
2009年から2018年までの累計転入超過数
総務省「住民基本台帳人口移動報告」よりオフィス野中集計
大企業の数が日本一多い東京都
人口が集中してきている要因として東京都に企業及び大企業が集積している事が挙げられます。東京都には資本金10億円以上の大企業が多い事が特長です。全国に5,800社近くある中で、2,900社を越える大企業が東京都に集中しています。大企業は関連会社も周辺に多くあり、就業人口が多く住宅需要が多く見込める事もあります。さらに大企業は福利厚生の中で重要な部分を占める住宅関連の福利厚生内容がとても充実しているからです。例えば賃貸で借りる方については法人賃貸契約などの制度があり、そういった企業があるエリアでは入居率が高まるからです。東京都内で言うと東京駅、秋葉原、池袋、新宿、そして開発が著しい渋谷・品川などの主要エリアなどにアクセスしやすいワンルームマンションはさらに人気が高まるでしょう。
■ 資本金10億円以上の企業の数
企業数 | 割合 | |
全国 | 5,784社 | |
東京都 | 2,926社 | 50.6% |
グラフィック東京の産業と雇用就業 2019
外資系企業の数も日本一多い東京都
東京がますます国際化している背景には、東京の外資系企業の多さが物語っています。全国に外資系企業は3,204社ありますが東京都にはその内の76%に当る2,434社が集まっています。外資系企業には比較的高収入の方が多く、ワンルームマンションなど最近都心部では特に家賃が上昇傾向ですが、このような需要から家賃も高水準で保たれています。
■ 外資系企業の数
企業数 | 割合 | |
全国 | 3,204社 | |
東京都 | 2,434社 | 76.0% |
グラフィック東京の産業と雇用就業 2019
国際会議開催数は東京が一位
東京の国際化を示す一つの指標として国際会議の開催件数も重要なデータとなります。全国で開催された国際会議3,433件のうち東京23区ではその内の約18%、645件となり、都市別では第一位となっています。これにより東京には5つ星級の高級ホテルの需要がさらに増していく傾向があり、このような現象が東京都心の地価の上昇にも影響を与える可能性も高いと考えられます。
■ 国際会議の開催件数
国際会議数 | 割合 | |
全国 | 3,433 件 | |
東京都 | 645 件 | 18.7% |
神戸市 | 419 件 | 12.2% |
京都市 | 348 件 | 10.1% |
日本政府観光局(JNTO) 「国際会議統計」2018 年
単身世帯数の多い東京都
ワンルームマンションの入居者となる単身世帯の動向はマンション経営にも大きな影響を与えます。東京都の予測によると、東京都の単身世帯数は、世帯累計別に見ると最も多くなっています。2020年には一般世帯702.4万世帯のうち単身世帯は339.0万世帯と半数近くになます。さらに単独世帯は2040年には369.7万世帯まで増加すると予想されています。
■ 東京都の単身世帯の推移
2020年 | 2040年 | |
一般世帯 | 702.4万世帯 | 721.5万世帯 |
単独世帯 | 339.0万世帯 | 369.7万世帯 |
東京都「東京都世帯数の予測」
このように人口・経済など様々な視点から世界における東京の魅力を検証してきましたが、2020年以降はまさしく「東京」から「Global city Tokyo」へ変貌していき、東京の不動産の注目度が益々高まるのではないでしょうか。