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経済情勢とマンション投資市場の関係は【プロが教える不動産投資コラム】

今回は新型コロナが日本経済や不動産市場に与える影響について考えてみたいと思います。まずは近年で最も大きかった経済変動要因として2007年頃からのサブプライム問題及び2008年のリーマンショックについて、その影響について見てみましょう。

リーマンショックとGDP、株価への影響は

リーマンショックは、2007年末頃から、サブプライム問題と言われる米国で発生した住宅ローンの不良債権化問題などを要因とし、後に2008年9月にリーマン・ブラザースが倒産し「リーマンショック」が引き起こされました。

 

日本経済に与えた影響も大きく、2008年7-9月期のGDPはマイナス4.9%でしたがリーマンショック発生後の2008年10-12月期はマイナス9.4%、2009年1-3月期は17.8%のマイナスとなり、戦後最大の落ち込みとなりました。

 

リーマンショックでは株価にも大きな影響が出ています。2007年末には株価は大納会終値で前年比11.1%下落、2008年末には同42.1%も下落しています。株価は経済動向に瞬時に反応し、大きく価格も変動する事が特長です。但し株価は好情報に対しても瞬時に上昇する事もあり、変動率も大きくなっています。

 

コロナ問題が大きくなる前の2020年1月頃には日経平均株価はおおよそ23,000円台の水準でしたが、コロナ問題が大きくなる2月頃には株価も大きく変動し3月中旬には16,000円台まで下落しました。しかし4月以降は除々に回復も見せ、5月には20,000円台まで回復しています。新型コロナの新規感染者数の伸びが今後減少を続ければ、株価もさらに安定してくるのではないでしょうか。

 

サブプライム問題による株価の影響は?

  2007年 2008年
株価(大納会終値) 15,307.78円 8,859.56円
前年同期比 ▲11.1% ▲42.1%

リーマンショックの地価への影響も大きい

地価への影響を見てみると、バブル崩壊後に下落を続けていた首都圏の地価は2003年頃から下落率が縮小、2007年には上昇となりました。2008年には東京圏や東京都の商業地では10%以上の上昇率となりましたが、2009年には再び下落へと転じました。東京都の商業地では2008年の15.8%の上昇から2009年は7.5%の下落と23.3ポイントもの下落となっています。但し公示地価は前年の動向を示すものですので、2008年の地価が大きく下落している事になります。つまり地価もリーマンショックで大きな影響を受けている事が分かります。  

 

公示地価変動率の推移

■住宅地 2008年 2009年
東京圏 +5.5% ▲4.4%
東京都 +9.1% ▲6.5%

 

■商業地 2008年 2009年
東京圏 +12.2% ▲6.1%
東京都 +15.8% ▲7.5%

<国土交通省「地価公示」>

ファミリーマンション価格への影響は少ない?

経済的要因による株価や地価などの変動に比べて、マンション価格の動向は緩やかになっています。これはマンションの販売計画は何年も前から実施されており、その年に販売されるマンションは、土地の仕入れは何年も前に終了している事も要因です。

 

しかし経済情勢によっては値付けにも影響を与えます。首都圏で新規に発売されたファミリーマンションの平均価格は2008年には4,775万円でしたが、2009年には4,535万円となり、約5%の下落となっています。株価や地価よりも下落率が少ない事が分かります。

 

首都圏新規ファミリーマンション価格の推移

  首都圏マンション価格
2008年 4,775万円
2009年 4,535万円
変動率 ▲5.0%

<不動産経済研究所調べ>

投資用マンションへの影響はさらに少ない?

では投資用マンションへの影響はどうなっているでしょうか。首都圏で新規発売された投資用マンション価格は、リーマンショックの発生した2008年には2,380万円で前年比1.6%の減少で、㎡単価は逆に0.1%の上昇となっています。さらに翌年の2009年には2,323万円で前年比2.4%の下落となっています。価格下落の一因として2009年の投資用マンションの平均面積が前年比1.9%縮小となっている事が挙げられます。実質的な価格を示す㎡単価はわずか0.5%の下落なっています。

 

つまりファミリーマンションに比べて投資用マンションへの影響は非常に軽微であった事が分かります。またわずかですが価格が下落していましたが、価格の変動には物件の立地による差も大きく影響し、利便性の高い立地にあるマンションほど影響は少なかったと考えられます。この事は今回の新型コロナの影響についても言えるのではないでしょうか。

 

リーマンショックによる首都圏新規投資用マンション価格の変動は?

  首都圏平均価格 首都圏平均㎡単価
2007年 2,419万円 98.9万円
2008年

2,380万円

(▲1.6%)

99.0万円

(+0.1%)

2009年

2,323万円

(▲2.4%)

98.5万円

(▲0.5%)

 

()内は対前年変動率

<不動産経済研究所調べ>

ワンルームマンションの賃料への影響は

ワンルームマンションの賃料への影響はどうでしょうか。2008年3月の首都圏のワンルームマンション平均賃料は7万1,940円で前年同月比0.3%の上昇となっていましたが、リーマンショック後の2009年3月は0.1%の下落となり非常に影響が少ない事が分かります。つまりGDPや株価が大きく数値を下げる中でも、ワンルームマンションの賃料には極端な値下がりはありませでした。

 

これは賃料が2年など長期で契約しており、また新規家賃も周辺相場の影響を受けるので、経済情勢に左右されづらいと言えます。今回の新型コロナの影響も、ワンルームマンション賃料には影響が少ないのではないでしょうか。

 

首都圏の賃貸マンションの家賃相場の推移

  2008年3月 2009年3月
ワンルーム 7万1,940円 7万1,817円
前年同月比 +0.3% ▲0.1%

<公益財団法人不動産流通推進センター「2019不動産業統計集」より作成>

リーマンショックと新型コロナの違いと今後の展望は

リーマンショックでは米国の経済低下の影響もあり、構造的な金融危機となりました。今回の新型コロナ問題ではこうした構造的な問題はなく、新型コロナウイルス蔓延防止による外出自粛などで消費支出の大幅な減少が景気低下の要因となっています。新型コロナによる消費の減少は一時的なものであり、コロナ収束後には潜在的な需要は大きく、消費の回復は早いのではないでしょうか。

 

またサプライチェーンの回復には時間がかかりますが、海外に依存している部分も多く、回復は緩やかになるかもしれません。コロナに対するワクチンの開発も進んでいますので、早期に収束し、観光・インバウンドなどが回復すれば、昨年以前から続いている地価の上昇カーブは回復するのではないでしょうか。

 

投資用マンションを現在所有している方にとっては、もともと希少性があり資産性が高い物件と思われますので、資産価値や賃料に与える影響は軽微と考えられます。またこれから検討する方におきましては、コロナ収束後には経済軌道も回復し、好立地限定で地価の上昇と首都圏の再開発・建築費の上昇も予想されますので、このような時代だからこそ、長期の視点でマンション投資を検討するには良い機会ではないでしょうか。

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