東京の人口とこれからの不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

新型コロナについては感染者数の減少傾向など明るい兆しが見えつつありますが、まだまだ予断を許さない状況が続いています。しかしこのような状況下でも東京都の人口増加は依然続いています。今回は人口と今後の不動産投資の動向について考えてみたいと思います。
東京都の人口が1400万人を突破
東京都の発表によれば、東京都の人口が5月1日時点の推計で1400万人を突破したとの事です。かつて東京の人口が1000万人を突破した時にはとても驚きましたが、現在ではそれを遥かに凌ぐ人口となっています。
日本全体で見ても人口が約1億2,500万人位ですので、47分の1の場所に実に10分の1以上の人口が集中しており、正に東京一極集中の様相を呈しています。
さらに総務省が発表した都道府県別の人口増加率を見ると、東京都の人口増加率は0.71%と1位となっています。つまり東京都は人口・人口増加率ともに全国トップとなっている訳です。
人工増加率ランキング
順位 | 都道府県 | 増加率 |
1位 | 東京都 | 0.71% |
2位 | 沖縄県 | 0.39% |
3位 | 埼玉県 | 0.27% |
<総務省「人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)」2020年4月14日>
世界的に見ても「東京圏」は巨大都市
この東京都の人口規模は国内だけ見ても圧倒的な数ですが、実は2018年の世界の都市別人口ランキングでは、東京1都3県を東京圏という見方で見ると約3,747万人となり世界一の巨大都市圏である事が分かります。
ちなみに2位はインドのデリーで約2,851万人となっています。2020年に世界を騒がせている新型コロナの感染拡大にも関わらず、東京の人口は増え続けています。
世界都市別人口ランキング
順位 | 都市 | 人口 |
1位 | 東京(日本) | 3,747万人 |
2位 | デリー(インド) | 2,851万人 |
3位 | 上海(中国) | 2,558万人 |
<UN「The World’s Cities in 2018」>
テレワークで居住形態が変わるが
もともと在宅勤務、テレワークは数年前から世の中に浸透していましたが、今回の新型コロナによりそれらの勤務形態がクローズアップされてきました。
大企業だけでなく中小企業でもテレワークが進んでいます。東京商工会議所の調べによると、会員の中小企業のテレワーク実施率が2020年3月の26%から6月には67.3%になり、さらに従業員300人以上の企業では90%となるなど、テレワークが進んでいる事が分かります。
テレワークにより北海道の自宅から渋谷のITの会社に勤務するような、全く新しい働き方も見えてきてとても興味深いです。
同じテレワークでも、従来と居住地が変わらない状態で推進されるケースと、都心から郊外・地方都市に居住地を移すケースがありますが、これは単身者の方とファミリー層とで異なってくると考えられます。
シングルとファミリーの違い
ファミリー層においては、都心から郊外型の住宅に移住して<3LDK+テレワークルーム>の形で「面積+環境」の住宅を求める可能性も秘めています。
しかし都心型、または都心にアクセスの良いワンルームマンションに住む単身者の方などは、仕事以外に生活の利便性、都心に近い所に住む事による「恩恵」も長らく受けているので、いきなり郊外への移住という事は考えづらいと思われます。
つまりコロナ禍でテレワークが浸透したとしても、単身世帯を中心に都心居住需要は常に一定水準をキープされていくと考えらえます。
東京は安定した大きな人口がある
東京は1400万という圧倒的な人口規模を誇りますので、仮にその5%、10%という単位でもし郊外移住となったとしても、依然圧倒的な分母があり、圧倒的な母数がある訳です。
極端な例ですが、中国の人口が14億から13億に減ったとしても、常に「巨大人口」である事には変わりはないという事です。
東京においても同様の事が言えて、1400万人の人口が数%減少したとしても、東京は巨大人口都市である事には変わりありません。
「コンパクト」が時代の流れに
昭和の時代と違って、令和の現代は様々なライフスタイルの中で「コンパクト」が浸透しています。同じカラーテレビでも筆者が幼少の頃は「キドカラー」というまるで巨大な箱みたいなカラーテレビが一般的でしたが、現在のテレビは超薄型で場所を取りません。
パソコンなどの機器もコンパクト化が進み、今はコンパクトなスマホ一つで通信はもとより、情報を得たり、映画やなどの動画や音楽なども楽しむ事ができます。
ワンルームマンションなどもそのコンパクトな面積の中でも十分に生活をしながらテレワークができる「社会的環境」も整いつつあります。
さらに筆者は、ワンルームマンションは「環境を買う」と考えています。好立地のワンルームマンションは周辺に書斎代わりとなるカフェや、実際のアートや音楽に触れられる美術館やライブハウス、また図書館などの公共施設もあり、まさに面積はコンパクトながら周辺には様々な物が備わっていると言えます。
つまりテレワークが浸透したとしても都区内のワンルームマンションの需要は低下する事はないと言う事です。
ワンルームマンションの供給は絶対数が少ない
そもそも新築のワンルームマンションは東京首都圏においては年間供給戸数がわずか8,000戸程度で、需要に対して供給が追いつかない状況です。
また大企業のテレワークに対する意識調査を見ても、週に何度かは会社に勤務という形態が多いそうです。
今後は人口が序々に減る所、横ばいで推移する所、序々に増えていく所、三者三様の様相をますます呈してきます。
都心及び都区内のアクセスの良い生活利便性の高いエリアは、今後も序々人口が増えていき、常に一定の賃貸需要がある訳です。
このように新型コロナの影響により勤務形態が変化する中でも東京は世界的に見ても圧倒的な人口を擁する都市であり、経済の要の都市でもあります。
不動産投資のエリアとして見た場合、やはり非常に魅力的な都市である事が分かります。