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【新NISA】つみたて投資枠・成長投資枠で何を買う?商品選び・投資のバランスの考え方

新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠、2つの投資枠では投資できる商品が異なります。どう活用すればいいのか迷ってしまうようなら、投資の戦略を一緒に練ってみましょう。今回は、新NISAの商品選びの際に考えておきたいことをQ&A形式で確認したうえで、おすすめの投資信託を一挙紹介します。

Q:新NISAでの投資はどうやって考えればいい?

A:守りの資産と攻めの資産に分けて保有するのがベターです。

お金を減らさずに増やすためには、「守りの資産」と「攻めの資産」に分けて保有することが大切な考え方です。守りと攻めに分けて資産を保有する戦略を「コア・サテライト戦略」といいます。

<コア・サテライト戦略>

(株)Money&You作成

現預金、定期預金もコア資産です。資産の大部分を投資に回してしまうと、生活が苦しくなったり、万が一の事態に対処できなくなったりしかねません。投資をするにあたって、生活費の6か月分は預貯金で確保するのが鉄則です。

新NISAは、インデックスファンド・バランスファンドといった比較的リスクの低い資産を活用し、お金を堅実・安定的に増やす使い方がおすすめです。

新NISAでコア資産に投資する際には、つみたて投資枠を優先的に利用しましょう。つみたて投資枠では、安定的にお金を増やせると考えられる「長期・積立・分散投資」が可能。毎月10万円・年120万円まで積立投資ができます。保有中にかかる「信託報酬」を含む、投資家が実際に負担した「実質コスト」の安い商品1〜2本に絞って、時間をかけてコツコツと投資しましょう。

Q:新NISAでおすすめのコア資産には何がありますか?

A:コア資産は市場カバー率が高いインデックスファンド、国内外の株や債券に分散投資するバランスファンドがおすすめです。

新NISAで投資できる商品は、下記となっています。

・つみたて投資枠…金融庁の基準を満たす投資信託・ETF(上場投資信託)
・成長投資枠…株・ETF・REIT(不動産投資信託)・投資信託

※一部対象外の商品あり

「ファンド」とは投資信託のこと。投資信託は、投資家から集めたお金を金融機関のプロ(ファンドマネージャー)が運用してくれる商品です。

インデックスファンドには、全世界株価指数「MSCI ACWI」、米国株価指数「S&P500」、日本株価指数「TOPIX」のように、市場全体を幅広くカバーする商品があります。広く分散された指数に投資すれば、ある投資先が仮に値下がりしたとしても、他の投資先が値上がりするなどして補い合いながら、資産を堅実に増やす期待ができます。

コア資産として安定成長・長期運用を考えるならば、市場のカバー率が高いインデックスファンドや、国内外の株や債券に分散投資するバランスファンドが向いています。

インデックスファンドのなかにも、たとえば「NASDAQ100」「半導体株価指数」「NYSE FANG+」など対象を絞った株価指数と連動を目指すものがあります。市場のカバー率が低く、集中投資に近いので、サテライト資産として考えましょう。

どの資産・商品を選ぶべきか、どの配分にするべきかは「自分のリスク許容度」を踏まえて決めましょう。

リスク許容度は、「自分が損にどのくらい耐えられるか」の度合いです。リスク許容度は、収入・資産・年齢・投資経験などによって変わります。

リスク許容度は高ければいい、低ければ悪いということはありません。大切なのは、自分のリスク許容度にあった商品を選ぶことです。

Q:新NISAのつみたて投資枠で、リスク許容度別のおすすめの投資信託を教えて!

A:リスクを抑えながら増やしたいか、積極的に増やしたいかで商品が変わります

たとえば、以下のような商品が候補となります(なお、以下断りがない限り2025年1月27日時点の情報です)。

【リスクを抑えながら増やしたい人向け】

●ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)

設定日:2015年8月27日
純資産総額:727億円
基準価額:18,752 円
信託報酬(税込):年0.154%
実質コスト:0.171%(2022年11月22日~2023年11月20日)
トータルリターン(5年・年率):9.32% ※2025年1月24日時点
リスク(5年・年率):10.65% ※2025年1月24日時点

国内外の株式と債券に25%ずつ投資する「4資産均等型」と呼ばれるバランス型の投資信託です。株式と債券の比率が50%ずつで、国内と海外の比率も50%となるため、今回紹介する投資信託の中では、よりリスクを抑えながら堅実に増やす資産配分であるといえます。

●eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

設定日:2017年5月9日
純資産総額:3251億円
基準価額:17,131円
信託報酬(税込):年0.143%
実質コスト:0.194%(2023年4月26日~2024年4月25日)
トータルリターン(5年・年率):7.91% ※2025年1月24日時点
リスク(5年・年率):13.62% ※2025年1月24日時点

国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・国外の不動産(リート)の8つの資産に均等に投資する「8資産均等型」のバランス型投資信託です。1本で8つの資産に分散投資ができる手軽さもあり、順調に資産が増えています。「ニッセイ…」より国内比率、債券比率が小さく、不動産や新興国の資産などが入っているため、リスクは高めです。

【積極的に増やしたい人向け】

●eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

設定日:2018年10月31日
純資産総額:5兆5041億円
基準価額:27,932円
信託報酬(税込):年0.05775%
実質コスト:0.194%(2023年4月26日~2024年4月25日)
トータルリターン(5年・年率):19.19% ※2025年1月24日時点
リスク(5年・年率):20.17% ※2025年1月24日時点

世界の株式市場の約85%をカバーする「MSCI ACWI」との連動を目指す投資信託です。「オルカン」の愛称でも人気。超低コストで、世界中の株式に分散投資できます。「eMAXIS Slim」シリーズには純資産総額が増えるごとに実質的な信託報酬率が下がる「受益者還元型信託報酬」という仕組みがあります。

●eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

設定日:2018年7月3日
純資産総額:6兆9239億円
基準価額:34,381円
信託報酬(税込):年0.0814%
実質コスト:0.104%(2023年4月26日~2024年4月25日)
トータルリターン(5年・年率):23.27% ※2025年1月24日時点
リスク(5年・年率):21.14% ※2025年1月24日時点

米国の株価指数「S&P500」との連動を目指す投資信託です。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。超低コストで、米国株式市場全体に分散投資が可能です。元々低水準だった信託報酬が2025年1月25日よりさらに引き下げられ、さらに手軽に米国に投資できるようになりました。

「新NISA元年」の2024年は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の2本の投資信託に人気が集中。SNSなどでは「オルカンかS&P500を買っておけばいい」という論調もありました。

確かに2本とも低コストで手軽に分散投資できる優れた商品ですが、どちらも株式100%でリスクが比較的高いことには注意しましょう。リスク許容度が低いのであれば、「4資産」「8資産」のほうがいいですし、リスク許容度がより高いのであれば後述する攻めの資産を選んだほうがいい、となるでしょう。

Q:サテライト資産として、新NISAの成長投資枠で購入できるおすすめのインデックスファンドを教えて!

A:米国テック株系の株価指数に連動するインデックスファンドへの投資が一つの手です。

新NISAの成長投資枠で購入できる、攻めのインデックスファンドには、米国テック株系の株価指数に連動する商品があります。

●ニッセイNASDAQ100インデックスファンド

設定日:2023年3月31日
純資産総額:2905億円
基準価額:20,080円
信託報酬(税込):年0.2035%
実質コスト:0.217%(2023年9月21日~2024年9月20日)
トータルリターン(年率):–
リスク(年率):–

S&P500の過去の運用パフォーマンスを凌駕する指数として「NASDAQ100」があります。NASDAQ100はナスダック証券取引所の上場銘柄のうち、金融業を除く時価総額上位100社で構成されていて、構成銘柄の約6割が情報技術系。本ファンドは同種ファンドの中で、実質コストがもっとも安くなっています。

なお、楽天証券ユーザーは「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」で同様の投資が可能。「投信残高ポイントプログラム」の対象で、残高に応じて年0.05%の楽天ポイントがもらえます。

●ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)

設定日:2023年3月31日
純資産総額:400億円
基準価額:20,001円
信託報酬(税込):年0.1815%
実質コスト:0.207%(2023年9月21日~2024年9月20日)
トータルリターン(年率):–
リスク(年率):–

SOXは「フィラデルフィア半導体株指数」といって、米国株式市場に上場する主要な半導体関連銘柄で構成された株価指数。日本でも有名なインテルやエヌビディア、台湾のTSMCなど30銘柄が組み入れられています。半導体市場の市場規模はまだ拡大見込み。それに合わせて資産を大きく増やす期待ができます。

こちらも、楽天証券ユーザーは「楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド」がよいでしょう。「投信残高ポイントプログラム」の対象で、残高に応じて年0.05%の楽天ポイントがもらえます。

●iFreeNEXT FANG+インデックス

設定日:2018年1月31日
純資産総額:5253億円
基準価額:73,203円
信託報酬(税込):年0.7755%
実質コスト:0.801%(2023年1月31日~2024年1月30日)
トータルリターン(5年・年率):41.61% ※2025年1月24日時点
リスク(年率):32.03%

FANG+の「FANG」はフェイスブック(メタ)・アマゾン・ネットフリックス・グーグル(アルファベット)の頭文字。これにアップル・エヌビディア・マイクロソフトなどを加えた合計10社の株価指数と連動を目指します。信託報酬・実質コストこそ少々高いですが、5年(年率)のトータルリターンは41.61%と非常に高いのが魅力です。

Q:個別株はどのようなものを選べばいいですか?1株から買うならどういう銘柄が良いですか? 

A:長期保有で堅実に値上がりが見込める銘柄を選びましょう。

新NISAの成長投資枠では株式投資もできます。値上がり益を狙った投資であれば攻めの資産としての位置付けです。

1株の株主でも、配当金は1株分もらえますし、銘柄によっては1株の株主でも株主優待がもらえます。優待割引がある銘柄を購入して、品物が割引で購入できれば、生活費の節約ができますし、場合によっては投資した金額の元が取れることもあります。

新NISAは利益を出さなければメリットが得られない制度であるため、長期保有で堅実に値上がりが見込める銘柄を選ぶのがベター。売上高と営業利益が過去3〜5期分、予想1〜2期分がともに右肩上がりである、好業績銘柄を選びましょう。

今や株式投資も1株から積立投資が可能です。値がさ株(株価の水準が高い銘柄)よりも低位株(株価の水準が低い銘柄)を選ぶのがベター。少額の投資で単元株(100株)の株主を目指すことができるからです。単元株の場合、株主優待がもらえる銘柄も一気に多くなります。また、単元株のほうが市場でリアルタイムに売却しやすいメリットもあります。

なお、高配当株で有名なNTTやKDDIなどは株主優待も充実しています。

NTTは100株以上保有、2年以上継続保有で1500ポイントのdポイントがもらえます。KDDIは100株以上保有、1年以上継続保有で2000円相当のPontaポイントまたは「ローソン」と「成城石井」の人気商品詰め合わせがもらえます。

Q:定期的にインカムゲインが得られる資産には何がありますか?おすすめは?

A:高配当株・増配株やREIT・米国債などがあります。

インカムゲインの得られる資産のことをキャッシュフロー資産といいます。

<新NISAで投資できるキャッシュフロー資産>

(株)Money&You作成

この中で、おすすめは高配当株・高配当株ファンド・高配当株ETFです。

値上がり益を狙いつつ、定期的に配当金または分配金が得られます。

高配当株は株価に占める配当金の割合(配当利回り)が高い銘柄のこと。厳密な定義はないのですが、おおよそ3%を超えると高配当株と呼ばれます。

個別株に抵抗があるのであれば、高配当株ファンドや高配当株ETFを利用する手もあります。1本で複数の高配当株にまとめて投資することができます。高配当株ファンドに低コストのものが多いので、高配当株ファンドの活用が積み立てもしやすくおすすめです。

【高配当株ファンド】

●日経平均高配当利回り株ファンド つみたて投資枠でも投資可能

設定日:2018年11月9日
純資産総額:1,692億円
基準価額:17,284円
信託報酬(税込):年0.693%
実質コスト:0.350% ※2023年12月16日~2024年6月17日
トータルリターン(5年・年率):17.68% ※2025年1月24日時点
組入銘柄の配当利回り:4.5% ※2024年12月30日時点分
配金利回り(1年):3.41%分配金健全度(5年):85.16%

日経平均株価の構成銘柄から予想配当利回り上位 30社に投資する高配当株ファンドです。新NISAつみたて投資枠でも投資が可能。組入銘柄の予想配当利回りも4%を超え、分配金利回りは3.41%と高く、トータルリターン(5年・年率)も17.68%と、高いパフォーマンスを維持しています。

●SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)

設定日:2023年12月12日
純資産総額:840億円
基準価額:11,339円
信託報酬(税込):年0.099%
実質コスト:– 
トータルリターン(年率):–
リスク(年率):–
組入銘柄の配当利回り:4.00% ※2024年12月30日時点
分配金利回り(1年):3.63%
分配金健全度(5年):–

配当利回り水準が平均より高い銘柄を中心に投資する日本高配当株ファンドです。NISA成長投資枠で購入できます。分配金は2024年4月・7月・10月・2025年1月と140円ずつ出ていて、分配金利回りは3.63%。信託報酬は年0.099%と日本高配当株ファンドの中で最安水準です。

●楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)

設定日:2024年9月18日
純資産総額:1229億円
基準価額:11,000円
信託報酬(税込):年0.192%
実質コスト:– 
トータルリターン(年率):–
リスク(年率):–
組入銘柄の配当利回り:3.78% ※2025年1月29日時点
ドルベース分配金利回り(1年):–
分配金健全度(5年):–

「シュワブ・米国配当株式ETF(SCHD)」に投資して配当収益の確保と中長期的な値上がり益の獲得をめざす投資信託。連続 10 年以上配当を続けている約 100 銘柄で構成されています。なお、2024年12月には同じくSCHDに投資する「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」が登場し、早々に純資産総額1000億円を突破しています。

新NISAの投資先は、守りの資産・攻めの資産を活用し、自分のリスク許容度を踏まえて選びましょう。そして投資先が決まったら、毎月淡々と、コツコツ投資を続けていきましょう。そうすることで、お金を減らさずに堅実に増やしていけるでしょう。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)

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