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不動産投資は品川再開発でどう変わる?東京サウスゲートの将来価値を読む

品川再開発は不動産投資にどのような影響を与えるのか

再開発が進むエリアは、本当に不動産投資の好機なのでしょうか。重要なのは「話題性」ではなく、交通インフラの進化、就業人口の増加、都市計画上の位置づけといった構造的要因を読み解くことです。

品川を中心とする東京サウスゲートは、リニア中央新幹線や地下鉄延伸など複数の開発軸が重なるエリア。本記事では、歴史的背景から最新の再開発計画までを整理し、不動産投資初心者でも将来価値を判断できる視点を解説します。

歴史から読み解く品川エリアの発展構造

歴史を遡ってみると、現在の品川駅の付近は海でした。鎌倉時代から室町時代にかけて品川は船舶による物流の拠点となっていました。

江戸時代には五街道が制定され、東海道は品川付近では海岸沿いを通っていました。品川は東海道の第一番目の宿場町であり、また宿場町全体を取り仕切る役割を持つなど重要な拠点となり、周辺は娯楽施設なども多く開業し大きく発展したエリアとなりました。その後品川は江戸時代に埋立てが進み海岸は陸地へと変わっていきました。ちなみに品川とは目黒川の下流の名前で、その河口に作られた湊なので品川湊となったそうです。

江戸時代の品川の名物の一つが「海苔(のり)」であり、海苔を巻いたあられを「品川巻き」と呼んでいる事もその名残です。

品川駅の誕生と鉄道インフラの進化

品川駅は海を埋め立てた「高輪築堤」に建設され、新橋~横浜間の旅客鉄道が開通した1872年(明治5年)に開業しました。新橋駅の開業が遅れていたため、横浜と品川が日本最初の駅とされており、長い歴史のある駅である事が分かります。

実は品川駅は港区にあります。これは「鉄道ができると宿場町の繁栄が失われる」と地元の反対があり、品川の街から少し離れた場所に駅が建設された事も要因です。

交通インフラの進化が不動産価値を押し上げる理由

現在の品川駅はJR山手線・京浜東北線・東海道線の他京急線などの停車駅で、2003年10月には東海道新幹線の停車駅となりました。今後は「東京メトロ南北線」の延伸が予定されている他、2034年以降には「リニア中央新幹線」の開業も予定されており、交通利便性が大きく向上する事が予想されます。羽田空港へもアクセスしやすく国内のみならず海外へも交通利便性が高いと言えます。

広域品川圏(Greater Shinagawa)構想とは何か

2025年にJR東日本から「広域品川圏(Greater Shinagawa)」のまちづくり計画が発表されました。浜松町から大井町にいたる駅のエリアを一体として魅力を高める計画です。

このエリアの再開発の様子を見てみたいと思います。

(1)浜松町エリアの再開発動向

浜松町駅東側には東芝本社跡地に「ブルーフロント芝浦」が進行し、地上43階建ての「タワーS」が2025年に開業しました。45階建ての「タワーN」は2030年度竣工予定です。

都市再生特別地区にも指定されている「浜松町西口地区再開発」では「世界貿易センタービル」の建替えが進められています。A街区では2021年に南館は38階の高層オフィスビルとして開業、46階建ての大型オフィスビルである本館は2027年3月に開業予定です。B街区では地上29階建ての「日本生命浜松町クレアタワー」が2018年に完成、C街区でも46階建て高層ビルなどが2026年12⽉に竣工を予定しています。

浜松町は東京と品川の中間にあり、東京モノレールで羽田空港へ直結でもある事からビジネス的にも重要な拠点であり今後も発展が予想されます。

筆者は10年以上前から浜松町は仕事でよく訪れていました。駅周辺は長期間巨大な工事現場があり開発が進んできましたが、徐々にその姿が顕在化してきています。街の完成はまだ少し先ですが、これからの進化がとても楽しみです。

(2)田町エリアの再開発と高輪連動性

田町駅では駅周辺の再開発が進んでいます。2020年に「msb Tamachi(ムスブ タマチ)」、2023年に「田町タワー」が開業しました。「田町駅西口駅前地区開発」では旧森永プラザビルを建て替え地上24階、三田駅直結の高層オフィスビルが2033年度に全体完成予定です。「田町駅東口地区再開発」では地上39階のビルにオフィスや大学は入る予定で2033年竣工予定です。また高輪ゲートウェイにも近い第一京浜沿いには(仮称)三田三丁目プロジェクトでは3棟のビルを一体として建て替え高さ180mの高層ビルとなる予定です。田町と高輪ゲートウェイは近い位置にあり一体となったビジネス街となっていくと考えられます。

田町エリアは筆者が2000年代前半によく講演させて頂いた三井不動産の「芝浦アイランド」など当時からタワマンのモデルルームが多くあり、また立地も良い事から田町の将来性はとても高いと感じていました。それが2020年以降に開発が加速し、その予想は現実となり街が大きく変わってきています。

(3)高輪ゲートウェイ駅の先進都市化

高輪ゲートウェイ駅前では「高輪ゲートウェイシティ」が2025年3月に先行開業しており、2026年春頃にはついに全面開業します。山手線の駅前の超大型再開発であり、大きな期待も寄せられています。線路に沿って大型の高層ビルがいつくも並んでいる姿は壮観です。多くの企業は本社を移転してきており、今後もビジネスの中心地となる可能性もあります。また高輪ゲートウェイシティの再開発を契機に周辺の再開発も大きく進んでいます。

高輪ゲートウェイ駅ではカメラが商品を認識してスイカで決済する無人コンビニやAIで案内するロボットの試験導入などを始め先端の技術も多く導入され、まさに近未来的な駅の象徴とも言えます。

(4)品川駅西口・街区再編の将来像

東京南側の玄関口でありグローバル企業の集積拠点となる品川駅周辺は高層のオフィスビルやホテルなどが建ち並ぶエリアです。品川駅から田町駅にかけては「都市再生整備地域」のうち特に重要性の高い「特定地域」に指定されています。

「品川駅街区地区」や「品川駅西口地区」などの再開発が計画されています。

「品川駅街区地区」は高輪ゲートウェイシティと隣接したエリアであり、高輪ゲートウェイシティと一体となった発展が期待されます。

「品川駅西口地区(A地区)」は地上29階のビルの建設が進められており2029年度開業予定です。こちらは京浜急行電鉄とトヨタ自動車が事業主体となり、トヨタ自動車の「新東京本社」のほか都心最大規模のコンファレンスホールや商業施設、ホテルなどが開業する予定です。品川駅西口エリアは他にも多くの大規模再開発が進行しており、今後駅前が大きく変貌すると考えられます。

品川駅は今後リニア、地下鉄の延伸、さらに空港へのアクセスの良さといった、まさに首都圏を代表するグローバル企業を呼び込むためのポテンシャルが極めて高いエリアと言えます。

「品川駅街区地区」位置図

資料:京浜急行電鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社

「品川駅西口地区」

資料:京浜急行電鉄株式会社、トヨタ自動車株式会社

(5)大井町エリアの進化と生活利便性

大井町では2026年3月28日に大型施設「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」が開業します。大井町駅からデッキで直結している地上26階のビルで、オフィス、商業施設、ホテル、住居などからなる複合施設です。都内のJR路線の車内広告も出ていましたので目にした方も多いのではないでしょうか。隣接するエリアでは品川区役所の新庁舎が建設されており2029年秋の開庁を目指しています。

大井町駅は「りんかい線」や「東急大井町線」が利用できるターミナル駅であり、「阪急大井町ガーデン」や「アトレ大井町」などの商業施設のほか、東口にはレトロな雰囲気の残る飲食店街もある街です。駅前に巨大な施設が開業した事で、利便性も向上し街の雰囲気も大きく変わると考えられます。

筆者は今まで様々な街を視察してきましたが、大井町駅はなぜか筆者のオフィスのある中野駅とイメージが被ります。両駅とも山手線から程よく近く駅周辺の開発が加速し不動産としてのポテンシャル、格付けが上がっているにも関わらず駅周辺には生活利便性の高いアーケードもあり、依然下町風情も残っている事などの共通点があります。中野周辺と同じく大井町駅周辺の不動産の価値は近年各段に上昇していると感じます。

「OIMACHI TRACKS」

資料:東日本旅客鉄道株式会社

東京サウスゲートの将来シナリオと不動産投資の視点

広域品川圏の中でJR東日本の所有するビルの延べ床面積は150万㎡で、東京ドーム31個分に相当するそうです。周辺の再開発も含めると、非常に大きな就業人口が見込まれる事になります。

JR東日本の進める「広域品川圏」プロジェクトは、「Suica」を活用した利便性の向上や、東京ドーム1個分に相当する5万㎡の広場の創出なども予定されています。

リニア中央新幹線の開業は2034年以降と見られています。今後2030年代にかけて東京南エリアの発展が続き、周辺や沿線の住宅需要も増加し、不動産市場にも大きな影響を与えると考えられます。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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