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2021年不動産投資業界の展望と新しいスタート【プロが教える不動産投資コラム】

2020年は激動の年となりました

昨年2020年はコロナに始まりコロナで終わったという、人類史上稀に見る激動の1年であったと言えます。しかしそのような難局に立ち向かい、様々な分野において新たなテクノロジーが生まれ、ある意味「大きく進化した」1年であったと言う事も言えます。

しかしながら今もなお新型コロナの猛威は衰えるどころか、ますますその勢いが増しているのが現状です。医療に従事される方々の労苦を考えると私たちの行動も一人ひとりの注意喚起がますます必要となる1年となるでしょう。

では今年2021年の不動産業界の動向とその行方について考えてみたいと思います。

不動産業界におけるネガティブ要因についてどう考えるか

新型コロナの影響で私たちの多くの方々に影響を与えた行動様式の一つに在宅勤務・テレワークというのがありました。特に昨春の緊急事態宣言の後位が転換期となり、それ以降大きな変化をもたらしました。

テレワークの浸透により伴い都心から郊外に移住する方も増加傾向となりました。

ここで大切な事は、二つ考えられます。

(1)そもそも在宅勤務という勤務形態は昨年から始まった訳ではなく、かれこれ10数年前からこの世の中に一定数定着していたもので、さほど驚くような勤務形態ではないという事です。

(2)テレワークに伴い超過転出人口が増加傾向というネガティブ要因が巷間よくささやかれます。しかしデータというものは直近とか短期のデータだけに注視すると「マクロデータの盲点」に陥る可能性があります。

東京都は2020年11月までのデータにおいては転入超過であった2021年はどうなるか?

2020年はコロナ渦により東京の人口が減少したと思われがちですが1年を通じてカウントすると、1月~4月と6月は転入超過となっており、その合計は54,264人です。一方転出超過月の合計は18,491人でしたので、年間を通じると約3万5,000人の超過転入の年であった事が分かります。

2021年は新型コロナに対するワクチン接種の浸透の期待が高まり年前半は超過転出になる可能性がありますが、五輪ムードが高まる年後半からそのような人口転出も落ち着きを取り戻すのではないでしょうか。つまり2020年+2021年の東京における人口動態は総合的に考えると、大きな変動はないと考えられます。

ワンルーム・ファミリー、それぞれのマンション業界の動きは

一口にマンション業界と言っても単身者が住む投資系ワンルームマンション業界と夫婦あるいは親子世帯など家族で住むファミリーマンション業界とでは、それぞれ違う動きが予想されます。

筆者は年間を通じて大手財閥系企業を中心にファミリータイプのマンションセミナーのオファーも数多く頂いていますが、今年は東京周辺部、千葉、埼玉、神奈川などの「準郊外化」の物件のオファーが増えています。都心側タワーマンションも依然人気は高いですが、その供給エリアが拡大する可能性を秘めています。

一方で投資系ワンルームマンション業界においては、昨年も千葉県とか埼玉県などの供給はほとんどありませんでした。マンション業界の各社に取材した所、今後の供給エリアは東京都心3区を除く都区部、川崎市、横浜市などとなると予想されます。 つまりファミリーマンション業界と違いワンルームマンション業界は今年も東京都区部、もしくは東京都区部に近い好立地に供給される可能性が高いと言えます。

建築費は国際的な視点で見る

建築費については国内要因だけではなく、国際的な視点で見る事も大切です。

ポストコロナで最も景気回復のスピードを速めている国の一つとして中国が上げられますが、中国において鉄鉱石の国際スポット価格が急上昇しています。

日本のマンション業界においてもこのような素材価格の上昇、人件費の上昇、更にスガノミクスにおける総額100兆円を超える国家予算に占める公共事業の増大、海外有力ファンドによる東京首都圏の再開発の投資など、建築費上昇の要因は数多くあります。

都心再開発加速でますます世界的存在感が高まる東京

2020年には「高輪ゲートウェイ」「虎ノ門ヒルズ」などの駅が開業し、再開発と駅が一帯となった開発が進められるなど東京を中心に大きな際開発が進行しました。

2021年は東京ではオリンピックイヤーという事で多くのプロジェクトが進行しています。2021年以降は275プロジェクトに及ぶ多くの再開発が計画されており、これは2019年、2020年の竣工のプロジェクトを上回る多さとなっています。

渋谷駅周辺も大きく変貌を遂げつつありますが、桜丘地区の再開発も大きく進んでいます。さらに今後も東京駅前の「トーチタワー」や新宿駅の高層ツインビル、日本橋の首都高の地下化に伴う大規模再開発などの大型プロジェクトが計画されています。また交通面でもリニア中央新幹線や羽田空港アクセス線など、今後の東京の利便性が大きく飛躍する事も予想されます。

この背景には、アメリカの量的緩和の長期維持を始め先進国における緩和マネーがますます増え、当然の事ながらそのマネーは東京にも押し寄せてくるからです。

どうなる2021年の不動産金融情勢

2020年後半あたりから不動産投資業界における一部金融の引き締めのサインが点滅し始めています。一部の不動産投資系金融機関では45年ローンの若干の金利アップ、さらに今年においては45年ローンの廃止検討も予想されています。これに同調する形で他の投資系金融機関も多少引き締めに入る可能性があります。

但しここで引き締めといっても日本における金融市場空前の「超低金利」が「低金利」にシフトする程度の小幅な変動と予想されますので、投資家にとっての影響は軽微であると考えられます。

2021年は何かを1から始めるのに適しているスタートの年

2020年は新型コロナを通じて日本国民における健康意識と合わせて老後の生活設計を含めて経済的な危機意識を共有した1年でもありました。2021年はそのような老後の生活設計に対する予防策を実践するにふさわしい年になると考えられます。

今年は2021年ですので新たに1から始めるという新しい何かを始めるにふさわしい年号ではないかと考えられます。

ちなみに私の友人は2021年1月11日11時11分11秒に初詣に行くと言っていました。

今年1年が皆様にとって健康でよいお年になる事をお祈りいたします。

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