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菅新政権でどう変わる不動産投資市場【プロが教える不動産投資コラム】

2020年9月16日に新政権が発足しました。2012年から2020年まで在任期間が最も長かった安倍首相が退任となりました。

安倍内閣の経済政策である、3本の矢を中心とする「アベノミクス」の経済効果は賛否両論がありましたが、政権発足時と比べて日経平均株価は大きく上昇、失業率も下がり首都圏の地価も大きく上昇しました。

一国の政権が長期化する効果の一つとして海外からの投資を呼び込みやすいという事があります。東京を中心とする再開発にノルウェーの年金ファンド資金などが流入した事もその一つの表れです。

このようにアベノミクスは概ね経済に寄与し、その効果も大きく現れています。

経済拡大の恩恵はどこに?

こうして日本経済が大きく発展する一方で、大企業の内部留保が大きく拡大しています。

またサラリーマンの給料はあまり大きく上昇している訳ではなく、また逆に社会保険料の負担額は増加しています。

つまり安倍政権においては、株や不動産などを有する資産家にとっては非常に恩恵を受けた反面、一般の給与所得者などに対する配慮の政策に物足りなさを感じた所もあります。

つまり様々な面で「格差」が拡大したと言わざるを得ません。

菅新政権の特長は

菅新総理は石破さん、岸田さんと決定的な政策の違いはアベノミクスを継承しさらにそれを進めるという事です。

つまり想定される政策として大規模な金融緩和政策の継続、withコロナで新型コロナを警戒しつつも社会経済活動を推進していく、さらに首都圏だけではなく地方都市の経済の活性化などが挙げられます。先般菅さんが地銀への応援メッセージを発した所、早速地銀の株価が急騰しました。

再開発においては首都圏のみならず、地方にも目配りされています。

昨年公示地価において地方都市の地価が上昇に転じた事を新総理はとても誇らしげに喜んでいたテレビの映像の姿が印象的でした。

地方都市が活性化し元気になる事により、東京にもその相乗効果は十分に期待できます。

不動産業界でもデジタル化が進むか

菅新政権肝煎りの一つに「デジタル庁」の創設があります。

今回の新型コロナ対策の一環として実施された、国民一人当たり10万円の給付金やアベノマスクの配布に至っては大幅な遅れや混乱がありました。これは国民のマイナンバー制のシステムがまだまだ十分ではなく、デジタル化により社会のシステムがスムーズに遂行できるようなシステム構築が求められています。

不動産業界においても古くからの契約書には一つのマンションに対してとても多くの印鑑を押す必要がありました。それだけ多くの書類があるからです。

河野行政改革相は「はんこ廃止」を求めています。書類に押印する習慣がテレワークを妨げているとの指摘もあり、平井デジタル改革相も賛同しているようです。

今後は契約においてもIT化が促進される可能性が多いにあります。

現時点では賃貸入居におけるIT重説は既に浸透していますが、売買契約については今後徐々に標準化していると思われます。

世の中の大きな変化を筆者も実感

10年前と比べて世の中の構造が大きく変化しています。

先日セミナー会場でお会いしたお客様は職業が何とYou Tuberの方で30代、年収は優に1,000万円を超えている方です。その方がZOOMを通じて不動産会社の担当の方から説明を受け、VR(バーチャルリアリティ)を駆使して現地及び室内を内覧して契約したそうです。

10年前では考えられないような単語が羅列されている時代となりました。

今後はデジタル庁の創設により、世の中はもとより、不動産業界は急速にその様態は大きく変化する可能性を帯びています。

消費税が当分据え置きの影響は

菅新総理は消費税率は10年間は据え置きと表明しています。

しかし日本が抱えている財政問題は今後急速に訪れる少子高齢化を考慮すると避けて通れない道と言えます。消費税税が据え置きであるという事は、今後日本が迎える高齢化に対する財源はこれ以上増えづらいという事も示唆しています。

人生100年時代を迎えて、将来の不安も高まってくる可能性もあります。

つまり今後将来の年金は高まっていく可能性があり、不動産投資を始める方も増える可能性もある訳です。

また消費増税がないという事は、マンション業界においても駆け込み需要が発生しない事も意味していますので、そのような意味では安定すると思われます。

最終列車と住まいのエリアの関係は

JR東日本とJR西日本は2021年春のダイヤから、首都圏と関西圏の鉄道の最終列車の時刻を繰り上げると発表しています。午後1時以降の電車はほぼなくなるという事です。

この繰り上げにより郊外に居住されている方は仕事の面でもプライベートな面でも支障を来たす事が予想されます。

繰り上げにより終電のアクセス時間が大幅に早くなったり、アクセスが悪くなる可能性があるからです。このため多少遅くまで残業しても友達と飲食してもタクシーでも低料金で帰宅しやすい東京都区部、都心に近いエリアに住みたいという需要は拡大する可能性を秘めています。

携帯料金は引き下げに

菅新政権では政策の目玉の一つとして、携帯電話の料金を引き下げる方向に向かって行きます。NHK受信料も引き下げになりますが、これは一般の契約で引き下げ額は月35円ですので非常に微々たるものですが、携帯料金は人によっては月に何万円も払っているケースもあります。大きく携帯料金が下がればその分可処分所得が上昇しますのでその分を賃貸の方は家賃に充当したり、投資家の方はマンション投資に振り当てる事もできます。

ニュースでは早速NTTが上場子会社のNTTドコモを完全子会社かするとの報道がありました。菅新政権においてはそのスピード感にも期待が寄せられています。

新政権は不動産業界にもポジティブ要因に

新政権においては、国土交通省を中心に再開発事業を強力に後押ししていますので、来年の東京五輪に向けてますます魅力的な街づくりに向かうと思われます。

新政権の誕生は概ね不動産業界にとってはポジティブ要因となる要素が多いと思われます。

このような状況から最近ではマンション投資セミナーに参加する方もとても増えてきています。経済的な側面から将来に対する関心を持つ方が急速に増えているようです。

従来とは異なるのはZoomとかGoogle Meetなどいわゆるオンラインセミナーがとても増えてきた事です。もちろん来場型セミナーもありますが、セミナーに参加するに当たってその間口が広がっている事はとても良い事です。 老後2000万円問題という問題を抱える昨今、新政権が発足した今のタイミングで将来を見据えた長期の視点で不動産投資を考えるには良い時期なのではないでしょうか。

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