不動産投資の基礎用語を理解していますか?初心者が差をつけるための金融・物件知識の整理
近年は金利環境の変化や物価上昇などにより、不動産投資を取り巻く前提条件が変化し、選択肢も多様化しています。一方で、用語や仕組みを断片的に理解したまま判断してしまうケースも少なくありません。不動産投資において重要なのは知識量ではなく、基礎用語を正しく理解し、自分で判断できる軸を持つことです。本記事では、ローンや利回りなどの基本用語を整理し、長期視点で資産設計を考えるための土台を解説します。
<ローン編>
(1)住宅ローンと不動産投資ローン
投資用のマンションを購入する際には不動産投資ローンが利用できます。住宅ローンは自分(または家族など)の居住用のマンション購入に利用できます。同じようなローンでも住宅ローンを利用して投資用マンションを購入する事はできません。投資用のマンションを住宅ローンを利用して購入した場合は「ルール違反」となり、金融機関によっては全額一括返済などを求められる場合もありますので注意が必要です。
但し住宅ローンを購入して自己居住用マンションを購入して、その後転勤などで住まなくなった際に貸す場合においては金融機関の承諾があれば可能となります。
(2)固定金利と変動金利
不動産投資をする上で金利についての知識・動向は極めて重要なファクターとなります。
ローンの金利には大きく分けて固定金利と変動金利の2種類があります。また居住用のローンでは、一定期間固定金利でその後に固定か変動か選択できるタイプもあります。
投資用ローンではその多くが変動型金利のローンとなっています。
変動金利は固定金利に比べて相対的に金利が低い傾向にあります。固定金利は将来的にも金利が変わらない一方、変動金利より高めとなります。
現在のように依然金融緩和の状況下では金利の低い変動金利を利用する事が有利となります。但し金利上昇期には返済額が上昇する可能性もありますが、金利が上昇しても返済額は5年間は据え置きとなっています。
日本では長らく、いわゆる金利のない世界が続いてきました。しかしここにきて「金利のある世界」に大きな方向転換が示されています。バブル期の高金利の時は変動金利でも5~8%という時もありました。現在は投資用ローンは2%前後となっており、金利が上昇したと言ってもまだまだ低金利圏にある事が分かります。
高市政権のもとでは金融緩和政策が進められ、日銀は人事案において「ハト派」から2人を起用する事を発表している事からも金融緩和の意向が見えてきます。
(3)元金と利息
マンション投資においてはどうしてもローン返済額と家賃との差額に視点が行きがちですが、大切なのはローン返済に占める元金と利息の割合です。なぜなら元金返済が終わらない限り住宅ローンが完済しないからです。
例えば3000万円を金利2%、35年返済で借り入れた場合の返済額は9万9,378円ですが、そのうち返済第1回目は元金が4万9,378円、利息が50,000円となります。元金と利息の割合は5:5位ですが、元金返済が進むにつれて利息が少なくなり、10年後には元金と利息の割合が6:4位となります。
元金部分は自分自身の貯金・資産ともなる部分ですので、返済額の内訳を知る事も重要です。
(4)頭金と諸費用と自己資金
マンションを購入する際には物件の本体価格とは別に、ローン事務手数料や所有権登記費用など様々な費用が発生し、これを「諸費用」と言います。おおよそ3000万円のマンションで120万円、つまり物件価格の4%程度と見込む事ができます。
投資マンションを購入する際のローンは100%借入れというケースが多く、中には諸費用もセットで組むケースもあります。
ローンを利用してマンションを購入する際に、ローンとは別に現金を用意する場合があり、これが「自己資金」となります。ファミリーマンションを購入する方の多くは自己資金を用意します。仮に価格が5,000万円で頭金を20%とする場合、頭金1,000万円、ローン4,000万円となります。この場合の頭金と諸費用を合わせた金額が自己資金となります。
<物件編>
(1)表面利回りと実質利回り
マンションの収益力を比較する指標として「表面利回り」があります。これはマンション価格と賃料の割合です。
例えば3,000万円のAマンションで賃料が月10万円の場合、年間の表面利回りは4%となります。
・10万円×12ヵ月=120万円(年間賃料)
→120万円(年間賃料)÷3,000万円=0.04
「実質利回り」の場合は、賃料からマンション経営にかかる経費等を除いた分を物件価格で割ります。費用には管理費、修繕積立金などが含まれます。
3,000万円のAマンションで賃料が月10万円、年間の経費が20万円の場合、実質利回りは約3.3%となります。表面利回りより低くなりますが、実際の収支に近いと言えます。
・10万円×12ヵ月=120万円(年間賃料)
・120万円(年間賃料)-20万円(年間の経費)=100万円
→100万円÷3,000万円=0.0333…
(2)壁芯(へきしん/かべしん)面積と内法(うちのり)面積
よくマンションのパンフレットで専有面積が30㎡とか表示されますが、これはマンションの「壁の中心」を囲んだ面積で算出され、これを「壁芯」面積と言います。
建築確認やマンションの図面やパンフレットなどはこの壁芯面積で表されています。
「壁の内側」の面積は「内法」面積と言います。壁の厚さの分、壁芯面積よりも内法面積の方が少なくなります。内法面積は実際の床面積で、実際に使える広さになります。壁が厚い場合や柱が出ている場合は、さらにその分壁芯面積より内法の面積の方が少なくなります。
内法面積は登記簿面積とも言い、登録免許税・固定資産税・都市計画税などの基準となります。居住用マンションの住宅ローン控除など税金の優遇を受ける場合も内法面積が基準となります。
(3)インカムゲインとキャピタルゲイン
マンション投資の収入の事です。マンションを売却して得る売却益を「キャピタルゲイン」、マンションを賃貸して得る賃料を「インカムゲイン」と言います。
ワンルームマンションが大きく値上がりしていたバブル期はマンションの転売も多く行われていましたが、バブル崩壊で多くの方が買った値段より大きく下がる含み損が発生し「不良債権」となりました。
現在では安定した不動産投資として、ワンルームマンションを賃貸に出して賃料を得る「インカムゲイン」が主流となっています。安定した賃料収入がある事で将来のための優良な資産となり、また物件の質も高く物件の寿命も長くなってきている事で人生100年時代にふさわしい投資と言えます。
但し近年では、もちろん立地などによって異なりますが、マンション価格の上昇によりワンルームマンションにおいても一定のキャピタルゲインが得られる場合もあります。
(4)完成前販売と完成販売
一般的にマンションの販売時期はファミリーマンションとワンルームマンションとでは大きな違いがあります。
ファミリーマンション業界においてはいわゆる「青田売り(完成前販売)」が主流となっています。規模が大きければ大きい程早めに販売する傾向があります。大規模マンションなどでは完成する2年以上も前から販売を開始するマンションも珍しくありません。
近年では完成前マンションでも様々なVRなどを始めとするテクノロジーを駆使して購入前から完成後の部屋の様子やバルコニーからの眺望なども体感できる時代となってきています。
一方、投資系のワンルームマンション業界においては完成販売が主流となっており、そこには一つの理由が存在します。投資家の方は投資用マンションを購入しても賃貸が付かなかったらどうしようという不安が募る訳ですが、完成直前から不動産会社さんは賃貸を募集し、お客様が契約した後に短期間で賃貸付の物件の引き渡しができるという大きなメリットがあるからです。
以上の様にマンション購入の際の用語の一部をご紹介させて頂きましたが、今後の皆様の不動産投資にお役立て頂ければ幸いです。
不動産投資を「理解」から「判断」へ進めるために
不動産投資は、用語を理解するだけでは判断につながりません。大切なのは「メリット」「リスク」「実際の事例」を踏まえて、自分なりの判断軸を持つことです。以下の記事では、そのための視点を順を追って整理できます。
執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役
マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。