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大学の都内移転・産学連携と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

不動産投資をする際には立地の選定が極めて大切なポイントとなります。

筆者はマンション投資に適した立地の条件の一つにビジネスゾーンとキャンパスゾーンが交差するエリアを推奨しています。これはビジネスゾーンを中心とした法人賃貸契約の他、学生やそこに従事する教職員など幅広い賃貸需要が見込めるからです。

近年では大学の都心回帰のみならず様々な産業・ビジネスエリアとの融合も進んでいます。今回は東京都内の大学建設地の動向と不動産投資について見たみたいと思います。

大学の都心回帰が進む

近年大学の都心回帰が進んでいます。一例として夜間、JR中央線の車窓からは新設された市ヶ谷の武蔵野美術大のネオンが視界に入ります。

「中野」駅付近では明治大学などの校舎も目にする事ができます。かつて多くの大学が郊外化を進めてきましたが、近年では都心回帰の傾向にあり、都区部に移転する大学・学部も増えています。

これは少子化が進み学生数が減少する中、人口の多い都心部に近いエリアの大学に人気が出てきた事も要因です。また近年では多くの大学で社会人向けに「学び直しブーム」を背景に新たな需要も拡大しています。

東京都の発表した学校基本調査によると東京都内の大学数は、区部では平成22年度の92校から令和2年度には100校に増加、逆に市部は同46校から43校に減少しています。

さらに学生数も区部では平成22年度の約52万人から令和2年度は約55.9万人と大きく増加し、市部は同約18.3万人から17.8万人に減少しています。

また大学の学部のみの移転を含めると、さらに多くの大学が都区部に移転していると考えられます。 東京都区部は10年間に学生数が4万人近く増加している事が分かります。

東京都の大学数

平成22年度令和2年度
区部92校100校
市部46校43校
東京都「令和2年度・平成22年度 学校基本統計(学校基本調査報告書)」

東京都の学生数

平成22年度令和2年度
区部520,683人559,508人
市部183,747人178,482人
東京都「令和2年度・平成22年度 学校基本統計(学校基本調査報告書)」

産学連携が進みプロジェクト数も増加傾向に

こうして都心に大学が移転してきていますが、近年は産学連携も進んでいます。 大学が企業などと連携して研究・開発を進めるケースは多く、令和元年度には3万件近くとなり年々増加傾向にあります。また民間からの研究費も797億円となり、こちらも増加傾向となっています。

田町では産学連携の拠点が誕生

多くの産業では大学との連携により研究開発を進める動きが加速しています。

こうした産学連携の拠点として49年ぶりに山手線の新駅が誕生した「高輪ゲートウェイ」近くの「田町」駅前においては東京工業大学を柱とする産学連携の再開発が進んでいます。

東京工業大学の田町キャンパスでは事業予定者としてNTT都市開発、鹿島建設、JR東日本、東急不動産のグループが選定されました。高さ178メートル、地上36階のビルが建設され、大学の教育研究施設のほかホテル、オフィス、商業施設なども誘致される予定となっています。

2032年のグランドオープンを目指しており、「田町」駅前という立地を活かし「大学間・産学官・国際連携のためのスペースを確保することにより、社会連携・国際化等の拠点とする」という方向で進められています。 つまり学生だけでなく、大手主要企業等の移転により多くの就業人口の増加も見込まれる訳です。

四ツ谷では大学の構内のビルに銀行が

JR中央線など多くの路線の運行する「四ツ谷」駅に近い上智大学のキャンパスでは17階建ての6号館「ソフィアタワー」が2017年に竣工しています。「四ツ谷」駅を降り立つと新宿通り沿いの白い大きな建物が目に入ります。

このビルの中には1階及び7~16階までは「あおぞら銀行」の本店が入っています。

大学内に金融機関の本店機能が存在する事により、大学と共同で研究を行ったり、銀行の担当者が学生に『FinTech(フィンテック)』などの講義をするケースもあるようです。 こうしたキャンパスと企業などが共存するケースも今後ますます増えてくるのではないでしょうか。

中野・北千住などにも大学が多く移転

「中野」駅の北西側には大規模な再開発により明治大学、帝京平成大学、早稲田大学が2013年から2014年にかけて相次いで移転してきました。キリン本社も隣接した立地にあります。

足立区の「北千住」でも大学の移転が進み「大学の街」としても有名です。駅周辺には 5つの大学(東京電機大学、放送大学・東京藝術大学・東京未来大学・帝京科学大学)があり、さらに足立区の「谷塚」には文京大学が移転し、足立区には大学が6校となります。足立区に大学は平成に入るまでなく、法律が変わり大学が多く移転し急速に大学の街となりました。

今後も中央大学法学部が後楽園へ移転する準備も進められています。

また横浜では「みなとみらい21」地区には「神奈川大学」が移転し2021年から5,000人の学生が学んでいます。

現在はせっかく新しい大学生活に夢を膨らましつつ入学した学生さんの多くが自宅でのオンライン講義という状況になっています。

大学は勉強を学ぶだけではなく、多くの学友・教職員と交流する場でもあるので、その点はとても残念に思います。

しかし今後ワクチン接種が急速に進み活気のあるキャンパスライフを過ごせる時期もさほど遠くではない事を願いたいものです。 不動産投資は長期の投資ですので、企業・大学の成長とともに自身の不動産の資産価値も堅持されるという思考がとても大切です。

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