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2020年を振り返って【プロが教える不動産投資コラム】

激動の2020年もいよいよ残りわずかとなってきました。今年は世界経済はもとより日本経済に大きな影響を与えた年となりました。今回は2020年における不動産業界について改めて振り返り、検証してみたいと思います。

新型コロナが発生し、様々な影響が

2020年の最も大きなトピックとして「新型コロナ」の発生が挙げられます。中国で発生した新型コロナはあっという間に世界中に蔓延し、日本にも多くの方が感染しました。

2月には新型コロナの発生からによりクルーズ船が横浜に停泊し大きな問題となりましたが、まだその頃は対岸の火事にように現在のような事態を招くとはとても想像ができない状況でした。

その後3月24日には2020年の開催予定であった東京五輪の延期が決定し国民の多くが落胆しました。さらに4月には政府から「緊急事態宣言」が出され、飲食店や旅行業の他多くの企業にダメージを与え私たちの行動範囲も一気に狭まりました。

しかしその後、様々な経済政策も実施され現在に至っている状況です。ここに来て新型ワクチンの明るいニュースも報道されるなど、序々に状況は変わりつつあります。

このような状況下の中で多くの国民が自分自身の健康、さらに経済的な意識が高まり将来を見据えた不動産投資に関心を持つ方がとても増えた年でもありました。

テレワークが普及し住まいの要望も変化

2020年の流行語大賞は「三密」となりました。日本国民全体がマスク・消毒・換気などの衛生面に極めて大きな関心を示しました。

また、このような状況の中で多くの企業でも自宅で仕事を行う「テレワーク」を導入し、「ZOOM会議」という言葉もあっという間に普及してきました。

ここで自宅は、「帰って寝る所」から「仕事をする場所」へと180度転換したのです。 これによりワンルームマンションでも、テレワークの作業スペースが必要となってきました。ファミリーマンションでも、+1としてテレワークルーム、またはテレワークスペースがある間取りの人気が高まってきました。

地価への影響は一時的?

新型コロナによる影響は地価にも大きく広がっていきました。

国土交通省が発表した1月1日時点の公示地価では、東京都の地価変動率は住宅地で前年の3.0%から2.8%の上昇へ、商業地で前年の6.8%の上昇から7.3%の上昇となり、住宅地では若干の上昇率の縮小、商業地では上昇率の拡大となりました。

その後7月1日時点の基準地価では住宅地で前年の2.6%から0.2%に、商業地は前年7.0%から1.4%の上昇へとそれぞれ地価上昇率が大きく縮小しています。

これは新型コロナの影響が大きく地価に反映している事が要因と考えられます。

但し上昇率は縮小したものの、特にワンルームマンションが多く建設される商業地の地価は依然上昇中である事が分かります。

コロナ渦においても東京の不動産は世界のファンドからも高い関心を集めており、東京の再開発の進行、さらにポストコロナを見据え世界の注目度は高まって行く可能性を秘めています。

東京の人口動向とワンルームマンションへの影響は

東京は転入人口が転出人口よりも多い「転入超過」が続いていましたが、新型コロナの影響で東京から転出する方も増加しています。

総務省の発表した「住民基本台帳人口移動報告」によると東京都の人口は2020年5月および7・8・9・10月に転出超過となりました。

ただし周辺の埼玉・千葉・神奈川県などは転入超過となっており、テレワークが普及しつつも都内へ通勤可能なエリアへの移動が多いという事が見えてきています。

しかし郊外などへ移住する方はファミリーマンションや戸建などに居住している方が多く、ワンルームマンションに居住している単身者の方は利便性の高い東京都区部や横浜・川崎などの人気依然高く、テレワークによるワンルームマンション需要への影響は軽微であると考えられます。

アベノミクスが残した二つの課題とは

こうした新型コロナの発生とともに、大きなニュースとなったのが安倍総理の辞任と菅新政権の誕生です。

2012年に発足した安倍政権ではアベノミクスとして様々な経済政策を打ち出し、株価や地価の上昇に大きな貢献を果たしてきました。

しかしこのアベノミクスにも二つの問題があったと考えられます。

第1に、株価・企業収益は増大ましたが、その恩恵が全ての国民に等しく還元された訳ではなく、一部の富裕層などに恩恵が集中した事で所得格差が拡大した事。

第2は、金融緩和政策による低金利が続き、余剰資金が都市部の不動産などに大量に流入し地価の大きな上昇を招いた点です。都心部の地価が大きく上昇する反面、地方都市・郊外など交通利便性の低いエリアでは地価の下落が続き、地価・不動産価格の二極化が大きくなってきた事があります。

さらに高齢化が進行するにつれて「空き家」問題も加速しています。都心へ利便性の高いエリアとそうでないエリアでは、今後資産価値においてますます大きな差が出てくるのではないでしょうか。

スガノミクスとマンションの資産価値は

菅新政権でもアベノミクスの金融緩和政策が基本的には継続されていきます。

2021年は五輪イヤーであり、さらに五輪終了後にかけても東京都心部などには大規模な再開発が進行しており、海外を含めて大きな資金が流入しています。

こうした状況は、利便性の高いワンルームマンションを購入した方にとっては、その資産価値を引き上げてくれる要因となる訳です。

コロナ渦で将来に対する不安も多くの人が感じるようになり、不動産投資に興味を持つ、あるいは不動産投資を始める方もますます多くなってきています。2021年は五輪開催・コロナ収束という自体になれば、不動産の資産価値についてもターニングポイントとなる可能性があります。

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