1. HOME
  2. プロが教える不動産投資
  3. 進化するワンルームマンションの室内スペック【プロが教える不動産投資コラム】

進化するワンルームマンションの室内スペック【プロが教える不動産投資コラム】

一昨年来、新型コロナが発生して既に1年以上が経過しています。筆者がこの原稿を執筆している現在においても東京・大阪などに緊急事態宣言が発令される状況になりつつあります。この1年間に世界経済や私達の生活は大きな影響を受けてきました。新型コロナが発生した事によりそこに誕生したものは「新しいテクノロジー」です。新たな物流システムからIT様々な通信機能も含め多くの分野で技術革新が進行しています。このような状況の下、住宅業界においても様々な技術革新が進行中ですが、今回はワンルームマンションの専有部分のスペックを中心に近年どのくらい進化してきたかを検証してみたいと思います。

新型コロナで室内の「居住環境」にも関心が高まる

新型コロナで自宅にいる時間が増えている方も多くなっています。

大学の学生さんなどは、昨年入学してもほとんど学校に行っていない、という人も多いと聞きます。社会人の方も自宅で仕事を行う「テレワーク」が増え、自宅にいる時間が長くなってきている傾向にあります。

飲食店の営業時間も地域によっては20時までとなり、仕事の後で食事をするのも難しく、テイクアウトや宅配サービスなどを利用して自宅で食事をするケースも多くなっています。

ワンルームマンションは駅に近い利便性の高い場所に建設される事が多く、物件周辺に飲食店などが多くあり、そうしたエリア特性がワンルームマンションのメリットの一つでしたが、こうした状況から、「立地」に加えて、「室内」の環境が重要な選択肢の一つとなりつつあります。

面積が拡充してきたワンルームマンション

筆者が1980年代からお世話になった大京観光(元大京)も首都圏を中心に全国に多くのワンルームマンションを供給しました。私が入社した頃販売していたワンルームマンションは面積は20㎡程度あり、そこそこの広さがありました。

ただし当時、市場には分譲用と異なりスペックもあまり高くなく、面積も10㎡台のいわゆる「賃貸用マンション」も見受けられ、中には9㎡や10㎡などの狭小の物件も多くありました。ベッドなどを入れたらほとんど他の家具が入らないスペースとなりますが、都心立地という利便性もあり、富裕層を中心とする投資家に売れ行きも好調でした。

室内の設備は現在の新築のワンルームマンションと比べると驚く程シンプルでした。室内にはワンルームマンションの象徴とも言える「ユニットバス」が設置されており、当初は目新しさもあり話題になりました。その後はワンルームマンションにも居住性が求められるようになり、バス・トイレ別のワンルームマンションも多くなってきました。

また当時は共用部分にオートロックが備え付けられたマンションはまだ少ない時代で、オートロックが付いている事をお客様との交渉の中で自慢げに話した記憶もあります。

不動産経済研究所の調べによると2020年1~6月に首都圏で発売された投資用マンションの平均専有面積は26.19㎡となっており、今手元に資料のある2003年の23.62㎡と比べても近年面積が広くなってきている事が分かります。

昔のワンルームマンションは賃料が7万とか8万が標準でしたが、近年では面積拡大とともに充実した設備により家賃も上昇傾向となっています。

進化した通信システムで家族団らんも

最近のワンルームマンションは新型コロナで増えたテレワークや在宅勤務に対応できるようなWIFiなどの通信環境が整っています。各種マルチメディアに対応できる充実のインターネット環境が装備されているマンションもとても増えています。

東京などのワンルームマンションは全国から学生さんが進学や就職など、また転勤でサラリーマンの方が単身赴任で来たりしますが、最近は進化した通信システムを利用して故郷の「家族と団らん」ができるワンルームマンションに変化しつつあります。

最近あった事例ですが、名古屋に二人のお子様と奥様がいらっしゃるご主人様が、東京のワンルームマンションに転勤で引っ越されてきました。1日仕事をして帰宅しても部屋には迎えてくれる人はいませんが、その部屋に住むと寂しくならない機能があります。

例えば

(1)「IT照明」が備え付けられています。

IT照明とは単なる照明としての機能ではなく、動画の録画を通じての防犯機能、さらに録音の機能、他様々な機能を有する極めて優秀な照明です。ご主人様が帰宅すると、既に録音済みのご家族の声で「お帰りなさい」と声がかかります。また部屋へ入った瞬間には事前に予約済の時間に照明も点灯している訳です。

(2)壁の壁面にテレビモニターを設置し、そこでオンラインでZOOMで名古屋のご家族と一緒に夕食を共にする事ができます。名古屋のご自宅のテーブルと東京のワンルームマンションの食卓テーブルをつなげて配置すると、まるで家族一緒に夕食を共にしているような感覚になります。予め名古屋の奥様が作られたお料理を冷凍のままクール便で配送してもらい、それを解凍したものを頂くという事です。 つまり機材は自分で揃えますが、充実した通信機能により違う場所にいながら同じ空間で家族と一家団欒の時間を過ごせるという有難さを味わえる訳です。

女性にも人気の水まわりの設備がグレードアップ傾向に

女性の就業率も高まり、ワンルームマンションを借りる女性のお客様の数も増えてきいています。女性にとって水回りの関心は高いものがあります。

専有面積の拡大とともにこうした水回りも充実してきています。

「キッチン」には高性能のレンジフードを備えた2口コンロも多くなり、自宅での凝った料理も可能となります。また高級感のある人造大理石のキッチンパネルの仕様のものも見受けられます。但し人造大理石は耐熱温度も上がってきていますが、直接熱い鍋などを置くと跡が付く事もあるので注意しましょう。

「バス」タイムは1日の疲れを取りリラックスする時間と言えますので重要です。オートストップ機能付きのお湯張り機能や温度調整のしやすい「サーモシャワー水栓」で快適なバスタイムとなります。

また「浴室暖房換気乾燥機」も普及していきています。浴室で洗濯物を干す事ができ、女性にも人気です。昔はファミリー向けのマンションにしか装備されていませんでしたので、ワンルームマンションの設備も大変進化していると言えます。

セキュリティも充実のワンルームマンション

マンションのセキュリティは女性に限らず男性にとっても関心の高いところです。セキュリティと言えば共用エントランスの「オートロック」が一般的ですが、最近ではそれに加えて「TVモニター付きインターホン」や共用部分の「防犯カメラ」、専有部分ドアの「ダブルロック」や「シリンダー錠」も増えてきています。また24時間対応のセキュリティシステムなどを備えている場合もあり、いざという時にも安心です。

こうした設備面での充実は、居住性の向上となり、空室率の低下にもつながります。また設備が優れている事で、同じエリアの古い物件よりも賃料が高く設定できる事もあります。

筆者は1980年代から現在に至るまで、ワンルームマンションのスペックの進化をずっと観察してきました。時代の変化と共にますます魅力を増す今後の更なるスペックの向上がとても楽しみです。

不動産投資家から見てもまさに「貸すにはもったいない」と思える位の不動産投資が本当の不動産投資と考えます。今回記したスペックは物件によりもちろん異なりますが、多くの所では業界で標準化しつつあると考えます。

注:設備はマンションによって異なります

関連記事