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東京より割安で利便性は高い——川崎エリアの地価・再開発・就業人口から読む不動産投資の視点のコラムのサムネイル

東京より割安で利便性は高い——川崎エリアの地価・再開発・就業人口から読む不動産投資の視点

「投資用マンションといえば都心」——そんな思い込みを、データが静かに塗り替えつつある。

川崎市の人口は2024年に155万人を超え、政令指定都市の中で6番目の規模を誇る。東京都で最大人口を抱える世田谷区(約94万人)をも大きく上回るこの都市は、交通利便性が高い割に都心より価格帯に割安感があり、近年投資用マンションの立地として注目が高まっている。

だが「人気が出てきた」という話を聞いただけでは、投資の判断はできない。大事なのは、地価のデータ・再開発の動向・就業人口の構造を自分の目で読む視点だ。この記事では、川崎エリアをその3つの軸から整理する。

なぜ川崎エリアが不動産投資の立地として注目されているのか?

投資マンションの立地として東京都周辺部のエリアが注目を集めていますが、中でも神奈川県の「川崎エリア」の人気が高まってきています。川崎エリアは交通利便性が高い割には東京都心部に比べて値ごろ感がある事も特長です。

川崎市の地形は縦長の形をしており東側は大田区や世田谷区、北側は町田市や多摩市などと接しており、市のエリアが広いことが分かります。

川崎市は2024年に人口が155万人を超えました。これは政令指定都市の中では6番目の規模です。東京23区で人口が最も多いのは世田谷区の約94万人ですので川崎市の人口規模がいかに大きいかが分かります。

川崎市の中でも湾岸エリアに位置するのが川崎区です。川崎区は東京都大田区や横浜市鶴見区と隣接しており、東京・横浜の両方面にアクセスしやすい立地となっています。川崎市には中央区や中区といった名称の区はありませんが、川崎市役所のある川崎区が市の中心となっています。行政などの公共施設を始め、多くの商業施設があり企業なども集積するエリアです。次に川崎区の魅力について見てみたいと思います。

川崎市及び隣接するエリア

参照:川崎市「川崎市近隣市区データ」

川崎区の交通アクセスはどれほど優れているか? 3路線×羽田直通の利便性を確認する

川崎区の交通の中心となるのがJRと京急の川崎駅です。

(1)JR川崎駅で使える3路線とは?京浜東北・東海道・南武線の役割を確認する

JR川崎駅はJR京浜東北線、東海道線、南武線が利用できます。

京浜東北線は利用者も多い路線で、東京の主要駅も多くあります。川崎駅から東海道線を利用すると品川駅まで1駅、東京駅まで3駅です。また横浜駅まで1駅と利便性も高い立地です。

南武線は川崎市の中心を縦に走る路線で川崎から立川まで運行しています。途中には大企業が多くあり就業人口も多い路線です。あまり知られていない路線ですが、不動産投資の立地としては穴場とも言えます。

(2)京急川崎駅から羽田空港へは何分?京急線のアクセス利便性と路線の背景

京急川崎駅からは京急線が利用できます。京急川崎から川崎大師方面へ運行する京急大師線は京急の発祥の路線です。1899年(明治32年)1月21日に日本で3番目の路線として開業し、この年に大師電気鉄道から京浜電気鉄道へと社名が変更されました。

京急大師線の駅には味の素関連の企業があり、創業者の名前をとって「鈴木町(すずきちょう)」という駅名になっています。個人名が駅名に採用されるのは珍しいですね。1901年(明治34年)には川崎から大森が開業し1904年には品川まで開業しました。

京急本線はJRと並行する路線で都営浅草線に直通となり大変利便性も高い路線です。

京急本線は京急川崎から京急空港線直通で羽田空港への直通アクセスも可能、わずか13分で到着します。

参照:川崎市「市内の鉄道」

2026年公示地価で川崎の地価はどう動いたか? 住宅地・商業地の変動率を確認する

川崎市の地価について見てみましょう。

国土交通省が発表した2026年の公示地価によると、川崎の地価は住宅地で前年比4.4%、商業地で同9.0%の上昇となりました。川崎区の地価は住宅地で4.6%、商業地で10.7%の上昇と市平均より上昇率が高く、今後もその拡大が予想されます。

川崎区は湾岸エリアなどに大企業が多くあり、区の約3分の2が工業地域となっています。川崎区の工業地域は前年比7.0%の上昇となりました。

ワンルームマンションが多く建設される商業地では川崎区のほか、幸区(9.6%)、高津区、中原区などが、いずれも9%を超える高い上昇率となっています。

川崎市の地価変動率の推移

住宅地商業地
2025年2026年2025年2026年
川崎市4.4%4.4%8.5%9.0%
川崎区4.7%4.6%10.2%10.7%
幸区4.4%4.3%8.9%9.6%
中原区4.7%4.5%9.1%9.4%
高津区4.1%4.0%9.2%9.5%
多摩区4.1%4.2%5.6%6.0%
宮前区4.3%4.5%4.9%5.9%
麻生区4.6%4.8%6.3%7.0%

参照:国土交通省「令和8年地価公示」

川崎市内で地価上昇率トップのエリアはどこか? 商業地ランキング上位5地点を確認する

川崎市の地価動向のうちワンルームマンションなどが多く建設される商業地を見てみると、上位5位までのうちなんと4地点が川崎区となっています。

地価上昇率の1位は川崎区榎町の地点で前年16.4%の上昇です。川崎駅の東側、第一京浜(国道15号)沿いの地点です。京急川崎駅や川崎市役所、稲毛神社なども近いエリアです。2位も川崎駅の東側、駅前大通りと第一京浜の交差点の近くです。3位は川崎区日進町の地点で第一京浜(国道15号)沿いとなり2位の地点の近くです。

川崎市の地価上昇率ランキング

順位所在及び地番 「 」内は住居表示対前年変動率
1川崎区榎町6番3「榎町6-2」16.4%
2川崎区新川通4番22「新川通4-15」15.8%
3川崎区日進町23番815.1%
4幸区大宮町14番515.0%
5川崎区砂子2丁目6番514.6%

参照:川崎市「川崎市の地価情報(令和8年地価公示)」

川崎駅周辺にはどんな商業施設があるか? 生活利便性が賃貸需要に与える背景

川崎駅周辺は多くの商業施設が集積するエリアです。筆者は今まで数多く川崎の街の取材をしてきましたが、いつ行っても老若男女問わず多くの方が行き交いとても活気を感じました。雨の日でも便利なアーケード街も連なっており、街の雰囲気としては大阪のなんばエリアが重なります。

JR川崎駅を降りると駅ビルの「アトレ川崎」、西口側には「ラゾーナ川崎」、東口には地下商店街「川崎アゼリア」などが直結しています。さらに東口には多くの商業施設や商店街、そしてシネマコンプレックスやライブハウス・飲食店などのある「ラ チッタデッ」もあります。駅前には「カワスイ 川崎水族館」もあり、まさに「楽しめる街」と言えます。

川崎の再開発計画は不動産投資の判断にどう関係するか? 2027〜2050年の主要プロジェクトを整理する

川崎市では川崎駅周辺や湾岸エリア、多摩川沿いの川崎殿町から対岸の羽田空港にかけてのエリアなどが「都市再生緊急整備地域」に指定されており、多くのプロジェクトが進行・完成しています。

川崎市の都市再生緊急整備地域

地域名面積 【】は特定地域
川崎駅周辺地域66ha
浜川崎駅周辺地域104ha
羽田空港南・川崎殿町・大師河原地域339ha【66ha】

参照:内閣官房地域未来戦略本部事務局・内閣府地方創生推進事務局「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」

(1)京急川崎駅周辺で進む再開発とは?地上24階ビルと10,000人収容アリーナの計画を確認する

京急川崎駅西側に隣接するエリアでは「京急川崎駅西口地区第一種市街地再開発」が進められており、地上24階のビルが2030年に建設されオフィス、商業施設などが入る予定です。また京急川崎駅の多摩川方面には「Kawasaki Arena-City Project」があり10,000人以上収容のアリーナを中心とした街づくりが進められ2030年に竣工予定です。

(2)浜川崎エリアの再開発と不動産投資の穴場性とは?湾岸エリアの就業人口と開発計画を整理する

川崎の湾岸エリアにはJR南武支線やJR鶴見線が運行しています。南武支線は川崎駅ではなく南武線の尻手駅に接続しています。また南武支線の浜川崎駅で鶴見線に乗り換える事ができます。湾岸エリアには先進の企業や研究所が多く就業人口が多いのでまさに不動産投資の隠れた穴場と言えます。

浜川崎駅に近い南渡田エリアには複数の研究棟や商業施設などが建設され2027年に完成予定です。さらに扇島地区では「OHGISHIMA2050」計画が進行しています。これは湾岸エリアの扇島にカーボンニュートラルエネルギーゾーン(水素発電や再エネ発電など)や、港湾物流ゾーンなどを2028年度までに整備し、さらに2050年度までに商業・宿泊施設、次世代産業の開発拠点などを計画しています。こうした湾岸エリアの中で新たな交通網の整備も検討されています。

(3)殿町エリア(キングスカイフロント)は不動産投資の立地としてどう位置づけられるか?

羽田空港の川崎側の対岸となる殿町エリアでは「殿町国際戦略拠点キングスカイフロント」が建設されました。「ライフサイエンス・環境分野を中心とした研究開発拠点」として多くの企業や研究所、物流センターなどがあります。京急大師線大師橋駅が最寄りとなります。京急大師線というと川崎大師に行くという路線の印象ですが、実は多くの先端企業などのある路線と言えます。

川崎エリアを不動産投資の立地として選ぶ判断軸をまとめると?

川崎は京浜工業地帯にあり多くの企業が集積しています。今後も技術の研究が進み先端技術の拠点となる可能性もあります。

横浜のみなとみらいエリアが商業施設やオフィスビルなどが多いのに対して、川崎の湾岸エリアは工場、研究所、物流センターなどが多くあります。一般の方は入れないエリアが多いのであまり馴染みがありませんが、日本を支える巨大な産業エリアと言えます。

川崎は交通利便性が高く、駅周辺の商業施設などの魅力や企業が多く就業人口の多いことなどもあり、今後も不動産投資の立地として人気が高まるのではないでしょうか。

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金利変動・インフレ・人口動態が資産選択に影響を与える時代、立地の選び方に判断軸を持てていない投資初心者は多い。そこで今回の記事では、川崎市の地価動向・交通利便性・再開発計画を公的データに基づき整理し、エリアを長期的視点で読む基礎的な判断軸を提供しました。

川崎エリアの地価・交通・再開発を確認できたら、次は「なぜそのエリアに需要が生まれるか」という構造を、データで理解するステップに進んでみよう。不動産投資の判断軸は、エリアの印象ではなく需要の根拠から作られる。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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