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2021年後半、建築費とマンション価格の行方は?【プロが教える不動産投資コラム】

コロナ禍でもマンション市場は販売面において順調に推移していますが、マンション価格を構成する要素としては「地価」と「建築費」があり、今後もその動向には注視する必要があると考えられます。 前回のコラムでは「地価」の動向について見てみましたが、今回は「建築費」について検証してみましょう。

投資用マンション価格は上昇傾向に

首都圏で新規発売された投資用マンション平均価格を見ると、年々上昇してきている事が分かります。

2016年の2,788万円から2018年には3,000万円を超え、2020年1~6月の平均では3,172万円まで上昇しています。

㎡単価も2016年の112.0万円から2020年には121.1万円へと上昇しています。 価格上昇の要因として前回のコラムでも取り上げましたが「地価の上昇」がありますが、他に「建築費の上昇」、特に人件費や建築素材価格の上昇などが要因として挙げられます。

首都圏 新規発売投資用マンション価格の推移

平均価格㎡単価
2016年2,788万円112.0万円
2017年2,829万円111.1万円
2018年3,088万円115.0万円
2019年3,131万円118.3万円
2020年※3,172万円121.1万円
※2020年は1〜6月 不動産研究所調べ

マンション価格影響のある建築費は上昇傾向に

建築費は経済情勢などによっても大きく変動します。震災の復興を始め近年は都市部の再開発など多くの工事需要があり建築費が上昇しています。

建築費の推移を見てみましょう。国土交通省の発表した「建設工事デフレーター」によると2011年を100とする指数では、2020年度には113.5となり、最新データである2021年3月には115.3と15%以上の上昇となっています。また東京など都心部では20%以上上昇しているデータも見受けられます。 今後は高度経済成長期や1964年の第1回の東京五輪の時期に建設された社会インフラなどの補修が必要な時期となり、今後も建築需要が高まると考えられます。

建設工事費指数(住宅・鉄筋RC)
2011年度=100

年度指数
2011年度100.0
2012年度99.1
2013年度101.9
2014年度105.2
2015年度104.8
2016年度104.8
2017年度107.6
2018年度(暫定)111.4
2019年度(暫定)113.8
2020年度(暫定)113.5
2021年3月115.2
国土交通省「建設工事費デフレーター」

工事人件費の上昇も建築費上昇の要因の一つ

人件費の増加も建築費上昇の要因となっています。この背景には、建築職人の人手不足、特に熟練工の方々が高齢化し、特に若い世代の人数が減っている事が挙げられます。

国土交通省が発表した公共工事の労務単価を見てみると、全職種平均で2013年度の15,175円から2021年は20,409円と30%以上上昇しています。 このような状況から今後も建築費の上昇は避けられない情勢であると考えられます。

公共工事設計労務単価(全職種平均・日額換算)

適用期単価
2013年度15,175円
2014年2月〜16,190円
2015年2月〜16,678円
2016年2月〜17,704円
2017年3月〜18,708円
2018年3月〜18,632円
2019年2月〜19,362円
2020年3月〜20,214円
2021年3月〜20,409円
国土交通省「令和3年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

世界的に景気の回復も進み素材価格も上昇傾向

米国などでは他国よりもコロナワクチンの接種がいち早く浸透している事から、景気回復のスピードも早まっているようです。また米国の個人消費も回復が目立ってきており、株価が上昇し経済活動も活発となってきています。

こうした米国の素材需要の増加もあり世界的にも原油などの価格も上昇しており、ガソリンを始め石油を原料とする多くの素材などの価格上昇の原因ともなっています。 日本でも建築に使用する鋼材価格なども先高観より前面高となったり、東京都の5月の生コンクリート出荷量が増加するなど様々な動きが見られます。

米国の住宅需要とウッドショック

こうした中で、米国では住宅価格にも大きな影響のある「木材価格」が大きく上昇しています。米国の既存住宅の価格が低金利も加わり大きく上昇している事にも関係があります。これはコロナ禍による在宅勤務が多くなり、郊外戸建てブームが発生している事も要因の様と考えられます。さらに中国などでも木材需要が増加しており世界的にも木材が不足している状況となっています。

この影響で木材価格が大きく上昇しており、1年で5倍にもなっているケースもあるそうです。こうした木材不足や価格の上昇などからくる住宅業界への影響は「ウッドショック」と呼ばれています。

住宅業界全体へも影響があるか?

木材不足は日本の住宅業界へも影響を与えています。日本では木材は輸入が多くなっており、国際的な木材不足の影響を大きく受ける可能性があります。

こうした状況からは新築戸建て住宅の価格上昇や納期の遅れなどの状況が発生などの影響が予想されます。 新築戸建てが価格上昇となると、中古物件や競合するマンションなどに需要が流れ、住宅市場全体が価格上昇となる可能性もあります。

今後のマンション市場はどう変わる

東京五輪が終了する秋口位から新型コロナワクチンの接種の進捗と相まって、経済の急回復が期待されています。世界銀行においても2021年の世界の経済成長率を5.6%、さらに米国で6.8%、中国で8.5%、そして日本においても2.9%の成長を予測しています。

多くの産業において2022年以降はさらに景気回復の本格化が期待されます。今後は潜在化していた住宅需要が景気回復とともに顕在化していく可能性を帯びています。但し地域によっては地価の上昇、さらに建築費の上昇などが今後の住宅・マンション業界に影響を与えてきますので、マンション購入のタイミングを考慮する際の参考にして頂ければ幸いです。

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