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新時代のマネーリテラシー 森井先生と「税」を学ぼう#2 【税の種類編】

【72channelのオリジナル番組「新時代のマネーリテラシー」シリーズ】 今回は、私たちの生活に深く関わる『税』について様々な角度から解説します!!

第2回目は・・・「税」の種類編です。 皆様、日本には税金は全部で何種類あるかご存知ですか? 様々な生活のシーンで密接に関わってくる「税金」。 #2ではそんな税金の種類をみながら、お金に関することを学んでいきます!

番組で丁寧に解説をいただくゲストは・・・公認会計士・税理士、そしてファイナンシャルプランナーとして活動され、現在では人気テレビ番組でのコメンテーターなどでも活躍されている「森井じゅん」先生をゲスト講師に、私たちの生活に深く関わる「税」について、様々な角度から学んでいただけます。

知っているようで知らなかった「日本にはどのくらい税金の種類があるのか?」「給与明細の中で社会保険料の見方は?」「副業や投資で得た利益にはどんな課税がされるのか?」といった疑問を解説!『税』に関する”気づき”がこの番組を通して見えてきます。

税金は何種類あるか知っていますか。

普段の生活の中で、様々な形で支払っている税金。その種類がいくつかあることは知っていると思いますが、森井先生は言います。

「税金と一言で言っても、たとえば国に払うもの、地方自治体に払うものがありますし、所得にかかる所得税や法人税もあれば、家など固定資産にかかる税金もあります。さらに、消費税やタバコ税なんかも税金ですね。それらを数えていくと、実は日本には50種類以上の税金があるんです。」

税金の種類を数えたことがある人はあまりいないのではないでしょうか。その数を聞いてびっくりしましたが、生活の中で、こんなにもあらゆる場面で税金がかかっているんですね。聞けば聞くほどしっかりと学ばなければと感じます。

「ガソリンにはガソリン税と消費税も入っていますし、一つのモノを買うにもいくつもの税金がかかっていたりします。愕然とするかもしれませんが、これも生活の一部。アンテナを高く、興味を持っていくことが大切なんです。」

知って支払う税と、知らずに支払う税。どちらがいいかと言われれば、知って払うほうが納得感もあります。まずは興味を持つことからはじめて、少しずつ税金についても詳しくなっていくことで大切なお金との向き合い方が変わるのでしょう。

お酒の流行は、税金に左右される。

「最近、レモンサワーが流行していますよね。スーパーに行けば、飲料メーカーの各社から様々な種類のレモンサワーが並んでいるのを見かけませんか。いわゆる缶チューハイです。でも実は、20年くらい前と比較すると缶チューハイはこんなに人気がなかったんです。ここ数年で一気に増えました。実はここにも税金が関わっています。」

森井先生は、お酒の市場においても、税金が与える影響は非常に大きいと話します。

「世界の中で見ても、お酒売り場に置かれた商品の種類がこんなに多い国は日本くらいです。外国に行ってもそこまでお酒の種類がいくつも並んでいるわけじゃないですよね。日本は特別なんです。レモンサワーの前は、第三のビールが一気に増えたり、その前には発泡酒が流行ったりもしました。こういった流行の背景を税金の視点から見ていきましょう。」

確かに、コンビニに行っても次から次へと新しいお酒が登場しているなと日々思います。メーカーがどんどん新しい商品を開発し、リリースしているのだとは思いますが、まさかここに税金の影響があったとは。詳しく聞いていきましょう。

発泡酒は、税金に対する企業努力から生まれた。

「では、話の理解を深めるために、まず発泡酒が生まれた背景からお話します。発泡酒はビールにテイストが近いけれど安いお酒として人気になったのですが、ビールってもともと税金が高いんです。さらに、冷蔵庫が各家庭にまだなかった時代には、冷蔵庫でキンキンに冷やしてビールを飲むことは贅沢だったんですね。冷蔵庫もないし、お酒の価格自体も高い。ウィスキーや焼酎などの常温でも飲めるものとは違い、ビールは高級品だったんです。」

確かに、ちょっとビールは高いから、今日は発泡酒にしておこうと思ったりしますよね。また、今ではビールは冷蔵庫で冷やして飲むのはあたりまえ。特に違和感はありませんが、冷やして飲むことができない時代であれば高級品であったこともうなずけます。

「それから時代が進んで、各家庭に冷蔵庫が普及した後に飲料メーカーが考えたのは、もっとお手頃価格で普段から楽しんでもらえるビールをつくれないかということでした。調べていくと、ビールの定義は麦芽の量や内容物で決まる。だったら麦芽の量を減らしてビールに似た飲料をつくれば、酒税も少なく価格を抑えることができるんじゃないかと、研究開発の末に生まれたのが発泡酒だったわけです。」

そういうからくりがあったわけですね。なぜ同じお酒なのに、発泡酒のほうが安いんだろうと思っていましたが、成分によってかかる税金が違うからという理由は驚きです。

税金が与えるマイナス効果にも着目しよう。

これまでの話では、発泡酒が流行したのは、かかる税金が少なく価格を安くできたからとのことでした。そして森井先生は続けます。

「発泡酒が売れるようになった後に、では国がどう動いたか。増税です。こんなに発泡酒が売れるなら発泡酒にかかる税金を高くしよう!そうすれば税収が増える!となったわけです。そうしたら今度はさらにメーカー側が第三のビールを開発。これがまた安かったので流行ったのですが、2020年10月、更に酒税法改正で第三のビールも値上がりしました。一方、レモンサワーは増税対象に入っていなかったので価格も上げずに販売できる。そうして各メーカーはこぞってレモンサワーの開発に力を入れたのです。」

なるほど、増税とメーカーの開発のいたちごっこが起きてしまっていますが、つくり手の涙ぐましい努力の末、私たちは安くお酒を飲むことができているのですね。

「企業の開発も税金によって方向性が変わってきたり、影響があるということです。一生懸命つくりました!となっても売れれば取りやすいところから増税が始まる。税金によって購買欲が抑えられたり、私たちが買うものが変わります。様々な選択に影響が出るということです。日本を豊かにする税金の仕組みを考えていかなければいけないところを、取りやすいところに簡単に行ってしまうのも問題だと思います。税金が与えるマイナス効果にも着目すべきなんです。」

確かに、開発者からすれば一生懸命開発したモノに対して、簡単に増税しないでほしいと思うでしょう。私たちのような買う立場の人たちには関係ない気もするかもしれませんが、飲料メーカーの売上が減れば、そこに勤める人たちの給料にも影響が出る。するとモノを買う人が減る、といった具合に経済が回らなくなっていくんですね。税金のかけ方一つで経済がプラスにもマイナスにも触れることがある。そんな実情を学んでいくことも、マネーリテラシーを高めるために重要なのだと感じました。

今回は、発泡酒やレモンサワーなど酒税に関わる視点から、少し税金に切り込んで話をしてもらいました。生活者の視点から身近な話をしてもらったことで、より税金に興味を持つことができたと感じています。森井先生からは踏み込んだ面白い話がさらに聞けるはず。次回にも期待しましょう。

森井じゅん プロフィール

公認会計士/税理士/ファイナンシャルプランナー。
高校中退後に、大検取得・留学・出産を経て一念発起。シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。
現在、森井会計事務所代表として税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中。

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