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不動産投資とDX(デジタルトランフォーメーション)【プロが教える不動産投資コラム】

2021年9月1日にデジタル庁が発足しました。日本における行政のデジタル化は世界でも14位(※1)と先進国の中でも遅れを示しており、その推進は急務と言われています。

日本の行政においては年金問題(年金事務所から当事者に連絡すら取れない方が多数いると言われています)、さらにマイナンバーの推進も遅れた状況の中で、社会活動の中でも様々な弊害が起こっている訳です。

今後期待されるDXとは

デジタル庁は関係省庁や自治体の業務効率の推進、さらに国民の健康と財産を守るという大きな役割を担っています。免許証や健康保険証などの様々な証明書などの統合も検討されています。

こうした中でDXという言葉がキーワードとなってきています。DXとは「デジタルトランフォーメーション」の略で、デジタル技術などを使って顧客サービスや会社の業務を始め業界そのものを改良するという意味合いを持っています。

不動産業界におけるDXの推進とは

不動産業界でもDXによる業務の改善、効率化は劇的に進んでいます。

例えば日本の不動産取引においては昔ながらの街の不動産屋さんに象徴されるように、未だにFAXなどによる情報提供や情報閲覧などが常態化しています。土地やマンション価格、地価などの査定においては過去の取引事例などや不動産会社の担当者の経験なども反映される訳です。

膨大な情報をAI(人口知能)が学習し、人間が査定すると2時間も3時間もかかったところが、AIならば10分20分といった短時間で査定ができます。その正確さは近年では高い水準となっているようです。

不動産取引で不可欠の契約書・重要事項説明書等なども手作業で作成されるのが慣行となってきましたが、AIが作成する事により誤記や誤字などのミスも大幅に減り短時間で作成できます。

内覧や交渉もオンラインで

賃貸や購入などの際も、現地に行かなくても共用部、専有部などを3Dなどであらゆる角度から確認をする事ができます。バーチャルリアリティーなどの技術が進み、本当にその部屋に居るかのように感じる事も可能となってきています。

また現地に行かなくても、駅周辺、現地までの道路環境、物件周辺の環境などがインターネットなどでも分かるようになってきています。

新型コロナの影響で対面式の交渉の機会がかなり減っており、ZOOMなどオンラインでの交渉がかなり普及してきました。これにより東京から大阪、東京から地方都市などへの移動機会も減り、その分、別のお客様との交渉機会も増える訳です。

また顧客のアフターフォロー管理においても物件の引き渡し時期、入居時期、所有物件の入金状況、問題点、課題の把握の情報提供などを含めて一元管理が可能となり、担当者が代わっても顧客への連絡体制も含めてスムーズにいく訳です。

DXにより不動産業界にも多くのメリット

不動産業界の事業規模は30兆円を超えると言われています。このような巨大な事業規模を有する不動産業界のDX化が加速する事により多くのメリットが発生します。

また投資用不動産業界ではスマートホーム化が大きなキーワードとなっています。

これはIoT技術を駆使した投資用不動産の開発です。これは共用部のみならず専有部における電気ガス水道などの省エネ化や効率化などを図るもので、さらにスマートフォンひとつで外から専有部分における様々な操作をする事も可能となってきています。

不動産セミナーでもDXが進む

筆者の仕事においても、最近ではオンラインセミナーが主力となりつつあり、リアルセミナーですと1回あたりのキャパシティも40~50人が中心となりますが、今年不動産会社様から依頼があった講演では、北海道から沖縄まで全国から1回で700人を超える参加者のセミナーも実際にありました。

スマホ一つで全てが済む世界が来ても

こうしたDXの重要なデバイスとなるのが、皆様の「スマートフォン」や「アイフォン」などではないでしょうか。現在クレジットカードやポイントカード、定期券などのモバイル化が急激に進んでいます。

さらに支払いなどもスマホ一つで完了するなどのキャッシュレスが大きく進んでいます。ITの進む米国フロリダ州などではスマートフォンで利用できるモバイル免許証が2021年から申請を開始しているそうです。

日本でもデジタル化の進む運転免許証や健康保険証、そしてマイナンバーカードもモバイルとなれば、スマホの重要性もますます高くなってきます。

マンション投資においても、スマホ一つで物件選びから内覧、契約、税務申告や管理費などの支払いから家賃の入金状況まで、全てできる日が来る可能性も高くなっています。

ただ問題はやみくもにDXを頼りにするのではなく、不動産購入の原点でもあるお客様と営業マンとの信頼関係、物件だけではなく広域的な生活文化圏も購入するという視点が重要です。

リアルな視点から人や不動産と対面するというスタンスはいつの時代でも大切であると考えます。

(※1)電子政府ランキングで日本は14位に後退、トップ3はデンマーク・韓国・エストニア 日経クロステック2020.07.13

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