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2021年の不動産投資市場を振り返って【プロが教える不動産投資コラム】

2021年もあっという間に年末となりました。

新型コロナにおいては海外では依然猛威を振るっており、日本国内においても新型オミクロンの感染者が徐々に増えてきており予断が許されない状況となっています。

2021年は衆議院選挙があり、自民党が勝利を収めました。岸田政権においては新自由主義、中間層の所得アップの他様々な政策が打ち出されていますが、政権が安定するという事は海外の投資家も含めて国内の投資家も、より投資しやすい環境が整う事も意味します。

今回のコラムでは2021年の投資不動産市況について総括してみたいと思います。

新型コロナの発生により不動産業界においては新たなテクノロジーが誕生

新型コロナにより急速に世の中に浸透したのが、いわゆるテレワーク・在宅勤務です。この間に多くの企業において一機にZOOM会議などが浸透しました。

例えば地方都市の方が東京の不動産をZOOMで紹介されたり、さらに海外在住の方も同様に紹介されるケースも多々あったようです。

また賃貸契約なども電子契約が進んだり様々な所で不動産DXが浸透しました。不動産業界の営業担当の方もコロナ以前よりもお客様との「接遇機会」が増えたという話をよく耳にしました。

筆者もコロナ禍においてはオンラインセミナーに招かれる事も増えてきました。お客様がいらっしゃらない所で講演する事については当初は戸惑いを感じましたがかなり慣れてきました。

このように新型コロナにより不動産業界においても多くの新しいテクノロジーが誕生した年と言えます。

コロナ禍においても地価の下落は限定的であった

今回のコロナが地価に与えた影響を総括するには時期尚早と考えられますが現時点で分かっている事はインバウンドの減少によって地価が下落したエリアが散見されたという事です。

例えば大阪市の中で最も下落したのが難波エリアで、東京においては浅草エリアなども下落しました。

しかし国土交通省が発表する四半期ごとの「地価LOOKレポート」によると東京でも地価が上昇するエリアが徐々に増え始めています。

例えば直近の令和3年第4四半期(7/1~10/1)のデータによると東京都の地価上昇地点が8か所となっており、前年同期の上昇地点ゼロと比較しても増加となっている事がわかります。元々コロナ前から優良なマンション用地の需要は堅調だった事を背景に、コロナの落ち着きと共に地価が回復し始めています。

国内だけではなく、海外ファンドによる日本不動産の買い意欲が一層高まった

世界中の金融緩和による潤沢な資金が日本の不動産業界にも多く押し寄せました。

例えば最近では東京のワンルームマンションなども一般のお客様に販売する前にファンドが一棟まるごと購入するという事例も散見されています。

この背景には潤沢な資金とともに円安という為替の状況の要因として考えられています。 世界的に見ると東京の不動産は割安と考える機関投資家も多く、東京のポテンシャルや将来性から、海外からの投資は今後も続くと考えられます。

五輪終了後も不動産市場は堅調

今年の8月にはその開催に賛否両論がありましたが、東京五輪は無事終了しました。選手の皆さんの活躍に世界中の人たちが感動しました。

開催前によく言われたのが、東京五輪終了後に不動産価格が下落するのではないかという事です。

しかし五輪終了後早くも4か月が経過しましたが東京の不動産価格が下落する兆候は表れていません。五輪の選手村となった晴海のマンションの最高倍率が110倍を超えるという状況で、五輪後も不動産価格が下がらない事に気が付き始めた買い控え層が一機に動き始めたのが現状と言えます。

住宅の需要が東京周辺部に拡大

リモートワークが推奨され都心に出勤する必要性が低くなった事から、東京周辺部の住宅需要も増加しました。東京都の人口移動状況も変化が表れ、東京都から転出する人口も増加しました。

しかし新型コロナの収束によりテレワークの比率を減らし出社率を高める会社も増えてきました。

また単身世帯の方は交通利便性を重視する方が多く、依然としてワンルームマンションの立地は都心へアクセスしやすい立地が好まれる傾向が続いており、賃貸需要は堅調に推移しました。

建築費は上昇傾向に

地価の上昇に加え、建築費も上昇傾向が続いています。

国土交通省の発表した「建築工事デフレーター」によると2015年を100とする指数では、鉄筋RC住宅の建築費指数は2021年10月には114.7に上昇しています。

こうした建築費の上昇もマンション価格に影響を及ぼす事が多く、マンション価格上昇の要因となっています。 また世界的に木材価格が上昇する「ウッドショック」、原油高、そして建築現場の人手不足など、建築費の上昇要因から今後も建築費の上昇は続く可能性もあります。

低金利は依然として持続

岸田政権下においても金融緩和政策は持続され、投資系ローンなどの金利も依然として低い水準が続いていると言えます。

不動産投資においては金利水準は極めて重要な指標です。この低い金利水準はマンションを供給する不動産会社にとっても大きな恩恵があります。

なぜなら不動産会社は金融機関からの借り入れによってマンション用地を購入したり、マンションのプロジェクトを推進するからです。

東京の再開発が進む

2021年は東京五輪の開催という事もあり、多くの再開発プロジェクトが2021年までに完成しています。

しかし今後も多くの再開発が進行しており、東京の発展は続いています。東京駅前の八重洲エリアやトーチタワーの建設、渋谷の桜丘エリアを始め、新宿・池袋・六本木・虎ノ門などで大規模な再開発が計画または進められているほか、リニア中央新幹線の開業予定である品川・高輪ゲートウェイなどでも大きなプロジェクトが進行しています。

2021年は不動産業界のおいても様々な事がありましたが、総じて堅調に推移した年であったと考えられます。

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