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「新空港線(蒲蒲線)計画」と不動産先行投資【プロが教える不動産投資コラム】

不動産投資をする上で「資産価値」という言葉は極めて重要なキーワードとなります。

将来の「資産価値」を決める要素の一つに「新線計画」がありますが、JRの「蒲田」駅と京急線の「京急蒲田」駅を結ぶ「新空港線(蒲蒲線)」の開業が現実味を帯びてきました。2022年6月に東京都と大田区で費用負担について同意したとの発表がありました。開業は2030年代を予定しています。

今回のコラムでは新空港線と周辺に与える影響について検証してみましょう。

新線・再開発と不動産の資産価値の関係は

都内では渋谷・新宿・東京駅周辺などを始め多くの再開発があり、高輪ゲートウェイの新駅開業を始めこのような開発が不動産の価値を押し上げました。

今後においても、さらに渋谷では桜丘エリアの大型プロジェクトが2023年、東京駅前の高さ日本一となるトーチタワーが2027年、日本橋の首都高の地下化が2035年から2040年に完成予定など東京が大きく変貌しています。また六本木、池袋を始め多くの再開発が進行しており、こうした長期的な流れの中で東京の交通網の発展により東京のポテンシャルはますます向上していく可能性があります。

こうした中でとりわけ今後注目されるのが、この「新空港線(蒲蒲線)」の計画です。 羽田空港へのアクセス向上はそのエリアの不動産としての資産価値を押し上げる事につながります。

羽田空港への「マルチアクセス化」の時代に

「新空港線(蒲蒲線)」の開業の前に、JRの新線である「羽田空港アクセス線」も2029年度の開業を予定しています。2030年代に「新空港線」が開業しますので羽田空港にアクセスする新線が次々に開業する事になります。

JR「羽田空港アクセス線」では「新宿・池袋」方面や「東京」駅など山手線の主要駅や「新木場」方面などから羽田空港へ直通アクセスが可能となります。 東京駅からは上野東京ライン、また渋谷・新宿駅からは湘南新宿ラインなどへの接続も予想されます。

離れている「二つの蒲田」駅

では「新空港線(蒲蒲線)」について見てみましょう。

JR「蒲田」駅は1904年(明治37年)に開業しました。現在JR京浜東北線と東急池上線、東急多摩川線などが利用できる駅です。

これに対して「京急蒲田」駅は1901年(明治34年)に開業とJR蒲田駅より先に開業していますが、JR蒲田駅から800m離れている位置にあります。つまり100年以上の長い間この二つの駅は接続していなかった訳です。 このため渋谷方面などから東急線で「蒲田」駅に来て羽田空港を利用する場合は「京急蒲田」駅まで歩く必要がある訳です。筆者も歩いた事がありますが、大きなスーツケースを持って移動するのは大変で、特に雨の日などはタクシーを利用したくなります。

広域なエリアから羽田空港へのアクセスが向上

現在羽田空港に直通の路線は「京急空港線」と「東京モノレール線」です。

この二つの駅が結ばれれば、東急東横線や目黒線、池上線、多摩川線などから羽田空港へのアクセスが格段に向上する訳です。

「東急東横線」は「東京メトロ副都心線」に直通運転を実施しており、また「東急目黒線」は「東京メトロ南北線」及び「都営三田線」と直通運転を実施しています。

「新空港線」の開業は2030年代を目指す

「新空港線」の開業は2030年代を予定しています。まだしばらく先の事ですが、東京では東京五輪後も多くの大規模再開発プロジェクトが進行しており、今後コロナの収束が進めば東京の発展もますます進むと考えられます。

さらに相鉄線「新横浜線」が2023年に開業を予定しています。相鉄線エリアから東急東横線・東急目黒線「日吉」駅への直通運転が予定されていますので、東急エリアの利便性が向上する事により渋谷や目黒などの利便性が向上します。

つまり今後も東京の不動産の価値は上昇を続ける可能性もあると考えられます。

蒲田駅周辺はどう変わる

「蒲田」駅はもともとJR京浜東北線と東急の2路線が利用できるターミナル駅であり、乗員客数ランキングが19位(JR東日本・2020年度)と利用者も多い駅です。

大田区では「蒲田駅周辺再編プロジェクト」を策定していますが、さらに蒲田地域の整備方針を2022年度にまとめる方針です。駅前広場や駅関連施設の改修などを目指しており、今回の蒲蒲線の合意などによりこうした計画もより前進するのでなないでしょうか。

「蒲田」駅周辺では羽田空港へのアクセスしやすい立地特性から今後もホテル建設などが進んだり、法人賃貸需要も増加する可能性もあります。

羽田空港や東京都心・川崎・横浜などにも行きやすい特長を持った「蒲田」エリアは今後ますます注目を集める可能性が高いと考えられます。

インバウンド(訪日外国人)の影響は

現在新型コロナの影響でインバウンドの数は大きく減少していますが、2022年6月から一部制限を解除する動きが始まっています。新型コロナの収束により以前の水準に戻れば、年間に3,000万人のインバウンドや国内旅行者の増加などにより羽田空港も利用者が増加する可能性も高いと言えます。

インバウンドの回復と羽田空港への新線開業が重なれば、都内各地などにも訪れやすくなり、経済効果も大きいと期待されます。その結果商業施設やホテル用地などの需要も多くなり地価が上昇したり、商業施設や飲食店などの就業人口も増加すれば住宅需要もそれだけ増加すると考えられます。

羽田空港周辺でも再開発が進む

羽田空港は都心に近い立地にあり利用者も日本一となっています。2021年度の羽田空港の利用者は国内線・国際線合わせて約2,900万人(※1)、旅客となっています。

羽田空港周辺では再開発が進行し、新たな施設の開業なども進んでいます。

周辺は「羽田グローバルウイングズ」として開発が進み、2020年には商業施設、研究施設などの入る「羽田イノベーションシティ」が開業、ホテルや商業施設などが入る「羽田エアポートガーデン」は開業が延期となっていますが今後の開業が期待されます。

羽田空港と多摩川を挟んで対岸の「川崎キングスカイフロント」には多くの企業や研究施設が集まっています。川崎側と羽田空港を結ぶ新しい橋「多摩川スカイブリッジ」が2022年3月に開通しており周辺の一体的な発展も進むのではないでしょうか。

※1:東京航空局「管内空港の利用概況集計表」

まとめ

このように羽田空港へのアクセスが向上すれば、都内各地から羽田空港にアクセスしやすくなるだけでなく訪日外国人も都内各地などに訪れやすくなり、羽田空港や蒲田駅周辺だけでなく広域的に就業人口が増加し住宅需要も増加する可能性があります。

今後長期的に見た場合は、東京都内などの再開発、新線の開業にインバウンドの回復が加わるとその経済効果も大きく、特に旅行業界などは今新型コロナの影響で業績も悪化していますが、今後は以前の水準にまで回復する可能性も高いと言えます。

今後10年間を見ても新線・再開発計画が多くあり、今からワンルームマンション投資を始めた場合でも立地によりますがその将来性は高く、先行投資としても意義があると考えられます。

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