
「投資の組み合わせ戦略」:不動産・ローン・資産分散で築く安定収益の極意
私たちの日常生活には、食事やファッション、健康管理に至るまで、無数の「組み合わせ」が存在します。そしてこの「組み合わせ」の発想は、投資の世界でも極めて重要です。
本記事では、不動産投資を中心に、ローンの組み方、エリアや物件タイプの分散、さらには短期・長期投資のバランスまで、多様な投資戦略の「組み合わせ」に焦点を当てます。人生100年時代における資産形成のヒントとして、投資家が今こそ知っておくべき「分散と安定」の考え方を解説します。
日常生活における多々の組み合わせ
私達の日常生活において様々な組み合わせがある事に気が付きます。
例えば食事における組み合わせを考えてみると、イタリアン・フレンチなどの食事の場合、ソムリエさんによるワインのペアリングがあります。たんぱくな魚料理には白ワイン、お肉料理などには赤ワインなど洋食に限らず日本食などあらゆる場面で組み合わせが生まれています。
また栄養面においてもタンパク質と野菜、主食と副食、ビタミン栄養も含めた様々な組み合わせがあります。またファッションにおいても色の組み合わせ、上下の組み合わせ、靴や時計、アクセサリー、帽子なども含めPTOなど様々な場面において意識されます。他にも多々ありすぎて枚挙にいとまがない程です。
そして投資の世界においてもこれだけをやっておけば安心という事はなく、長期投資と短期投資、収益を生む投資と生まない投資、国内投資と海外投資、東京への投資と地方への投資、その組み合わせはまさに有機的な世界とも言え、そのバリエーションはとても多い訳です。
財産三分法から財産多極分散法時代へ
昔から財産を分散する方法として「財産三分法」とか「ポートフォリオ」とか言われてきましたが、現在においては軸となる投資を1本決めて、その他はリスク回避のため様々な種類の投資を様々な方法で多極分散する時代へと変化してきているようです。そのメニューのすそ野は極めて広い時代となってきました。
毎年あるいは毎月一定の収益を生み出す投資の代表格としては毎月分配型の投資信託、小口のリート商品などがあります。最近ではやっと金利のある世界になってきましたので、特に地方銀行などの定期預金などはそこそこの利息の収益も期待できます。
その他にも色々ありますが、何と言っても収益を生み出す最大の投資はやはり不動産です。一方収益を生まない投資の代表格は何と言ってもまず金投資が挙げられます。
金はただ持っているだけでは収益は生まれず、購入した金額と売却金額との差益を求める投資です。その他人気のあるゴルフ会員権、他様々なものがあります。
短期的な投資と長期的な投資
また同じ投資でも短期的な着眼点で運用する投資と長期に渡って投資するものに分かれます。
人生100年時代にふさわしい長期投資は政府が推奨するNISA・iDeCo他様々な対象がありますがその代表格は何と言っても長期安定を目指すものが不動産投資と言えます。
特に将来的な私的年金目的で購入する方は20代30代と比較的若い時から始め、定年退職する頃に毎月一定の収益を目指す方も多くいらっしゃいます。
短期投資の代表格と言えば超短期投資である株のデイトレードではないでしょうか。午前中にいくら得した損したなど極めて短期の投資と言えます。また外国為替や暗号資産なども短期投資と言えます。
しかし同じ不動産投資でもタワーマンション投資などにおいては比較的短期、例えば5年前後、10年前後、なかにはマンションが完成する前、いわゆる青田契約を済ませて完成と同時に売却するという「超短期」の投資家も特に外国人投資家に見られます。
複数の不動産投資ローンにおける組み合わせとは
ワンルームマンション投資においてもAさんは35年ローンで3戸のワンルームマンションを購入、Bさんは3戸購入ですが一つは35年ローン、二つ目は30年ローン、三つ目は25年ローンと期間をそれぞれ分けます。同時期に3つのマンションを購入したとするとまず25年ローンが終わります。
すると3つの家賃収入で2つのローンを返す事になりますのでさらにローンの返済のスピードが早くなり、当初35年だったローンも早期の完済が期待できる訳です。
このようにローンの基幹を長期と中期などと組み合わせる事も投資戦略の一つとも言えます。
不動産もヘッジファンドの視点を持つ
限られた対象に一極集中した投資をすると震災や経済的な変動などにより当然の事ながら一定のリスクを抱える事になります。
立地や投資対象を変え、様々な組み合わせをする事も大切です。
世界の機関投資家の投資の動きを見ていても株価が上昇しても株価が下落しても損を被らない、いわゆるヘッジファンドというものが存在します。ヘッジファンとは一般の投資信託とは異なり、富裕層や機関投資家などから資金を募り運用します。利益を出すためにリスクの軽減・分散については特に注意を払っています。
これからの個人の投資家においてもヘッジファンドのような意識を持ちながら様々な組み合わせ対処する事により一定の利益、収益を確保しつつリスクヘッジを同時に進めているという発想が大切な時代となるのではないでしょうか。
投資の4番バッターとは
個人の住宅ローンにおいても自己居住用のローンを組む際に、固定金利と変動金利をうまく組み合わせる事により金利上昇リスクから回避できるノウハウも期待できる訳です。
単一的な投資から様々な組み合わせをする事が大切です。
しかし組み合わせをただ単にすればいいというものではなく、ズバリ投資の4番バッターをしっかり固定して、そこは長期安定というぶれない事が大切です。
現在読売巨人軍の岡本選手が長期離脱していますが、改めて巨人ファンは4番バッターの重要性が身にしみているのではないでしょうか。
不動産投資は安定した収益があり、資産運用の4番バッターとしても適しています。そこに投資信託など他の投資を配置する事によりバランスのとれた投資ができると考えます。
マンション投資の組み合わせとは
マンション投資の中でもリスクヘッジのために、様々な組み合わせが考えられます。
一つはエリアの組み合わせです。
一つのエリアで複数の投資マンションを所有している場合は、賃貸需要が増加している時は良いですが、例えば企業や学校、商業施設などの移転で賃貸需要が減少した場合に、リスクも大きいと言えます。
組み合わせの例としてとしては都心と下町、東京と名古屋、東京と大阪、など様々なケースがあります。
二つ目は購入時期の組み合わせ
例えば20代でワンルームマンションを1戸購入し、その後に収入が上がり生活に余裕が出てきた時点でさらにもう1戸を購入するケースなどもあります。
また新たに新築の投資用マンションを購入すれば、再度損益通算を狙える場合もあります。
三つ目は広さの組み合わせ
投資用のマンションはワンルームマンションが多いですが、これは単身世帯が今後も増えていく事から将来性も高い投資物件と言えます。また広めの単身世帯や夫婦のみ世帯の需要も高く、少し広めのワンルームマンションやコンパクトマンションなど面積の異なる物件を所有するのも有効です。
四つ目は新築と中古の組み合わせです
賃貸としても人気が高く品質も安定した新築ワンルームと、物件それぞれに状態が異なりますが新築より価格の安い中古ワンルームを組み合わせる場合もあります。但し中古の場合は設備などのメンテナンス費用がかかる場合もあり、資金計画も新築とは違ったものになってきます。
以上今回のコラムでは様々な組み合わせについて述べてみました。読者の皆様の日常生活から資産運用まで組み合わせのヒントになれば幸いです。
また組み合わせは年に1回の財産の点検時期などを通じて柔軟にその組み合わせを変えていくという考え方も大切であると思います。