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令和7年国勢調査速報をもとに都道府県・東京23区の人口動向を分析し、不動産投資の立地判断に活かす視点を解説する記事のサムネイル

日本全体では人口減少、でも増えているエリアがある。国勢調査速報から読む不動産投資の立地判断軸

「日本の人口が減っているから不動産投資は危ない」——そう感じる人は多いが、データをもう少し細かく見ると、景色が変わる。2026年5月29日に発表された令和7年国勢調査速報によると、日本全体の人口は1億2305万人で前回比2.5%の減少。しかし都道府県別に見ると増加したのは東京都と沖縄県の2つのみで、東京23区では20区が増加している。台東区は8.0%、中央区は7.5%と都心部の伸びが顕著だ。マクロデータに翻弄されず、エリアの属性・人口動態・世帯構造を組み合わせて読む視点が、不動産投資の立地判断の本質である。

国勢調査とは何か? 5年ごとに実施される全数調査の概要と今回の速報の位置づけ

国勢調査とは国が5年ごとに実施する、国内に住む全ての人や世帯を対象にその実態を把握する調査です。第1回調査は大正9年に行われ、令和7年調査は22回目となる歴史のあるものです。地方自治体などの住民基本台帳を基にした人口統計とは異なり、居住している所がベースとなります。居住者の属性や職業などが対象となり、国の政策など重要な指針を決める際にも利用される資料となります。

今回発表されたのは速報ですので、主に人口の動向のみとなります。基本集計や就業状況など他のデータは今後、順次発表となる予定です。

令和7年国勢調査速報で明らかになった全国の人口動向——1億2305万人・前回比2.5%減の実態

今回の速報によると、我が国の人口は1億2305 万人で、2020年から2025年にかけて309万7千人減少しました。

国勢調査の統計の中でこれまで人口が最も多かったのは2010年の 1億2805万7,352人でした。2010年までは人口増加が続いていましたが2015年以降は減少が続いています。しかし100年前の1925年(大正14年)の人口は約5973万でしたので今では約2倍となっており、これまで人口が大きく増加してきた事が分かります。

世界的に見ると、人口が最も多いのはインドや中国が約14億人、次いでアメリカ約3億人と続き、日本は世界で12位の規模となっています。

日本の人口

人口前回(2020年)比
1億2305万人△2.5%

参照:総務省「令和7年国勢調査」人口集計速報

都道府県別に見ると人口はどう分布しているか?東京圏に全国の3割が集中する実態を確認する

都道府県の中で最も人口が多いのは東京都で約1424 万6千人、全国の人口の約11.6%を占めます。東京に次いで神奈川県、大阪府、愛知県などが続き、5位に埼玉県、6位に千葉県と首都圏の県が続きます。

東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の合計では約3698万6千人で全国の約3割(30.1%)を占める事になります。首都圏だけで大きな人口を有し、ポーランドの人口約3650万人にも匹敵します。

東京圏に大阪府、愛知県、更に兵庫県と福岡県を合わせた8位までの都府県の人口を合計すると全国の人口の半分以上を占めます。

大都市圏に人口が集中し人口の二極化が進んでいる事が分かります。

都道府県別 人口規模ランキング

順位都道府県人口
1東京都1424万6,219人
2神奈川県919万3,657人
3大阪府876万4,578人
4愛知県744万9,403人
5埼玉県728万7,169人
6千葉県625万8,512人
7兵庫県532万3,825人
8福岡県508万1,879人
9北海道498万5,419人
10静岡県346万8,845人

参照:総務省「令和7年国勢調査」人口集計速報

人口が増加した都道府県はどこか? 増加は東京都と沖縄県の2つのみという実態

都道府県別の人口増減を見ると、増加となったのは東京都と沖縄県のわずか2都県のみとなりました。

東京都の人口増加数は19万9千人で1.4%の増加、沖縄県は1千人、0.1%の増加となりました。

逆に最も人口減少数が大きかったのは北海道で23 万9千人の減少、ついで静岡県16万4千人、兵庫県14 万1千人の減少などが続きます。

人口減少率が最も高かったのは秋田県で8.1%、次いで青森県7.9%、岩手県7.0%と東北地方の県が多くなっています。この背景には人口の高齢化・産業構造の変化など様々な要因が考えられます。

21大都市の人口動向——8都市が増加・13都市が減少、同じ市部でも増減の濃淡がある理由

21大都市の人口規模を比較してみると、最も多いのは東京都区部で995万人、次いで横浜市が375万人、大阪市280万人と続きます。三大都市及び横浜市で上位を占めています。

21大都市の人口動向を見ると8都市が増加、13都市が減少となりました。

三大都市は人口が増加となりましたが、横浜市は0.6%の減少となりました。しかし横浜市の中でも中区や西区など中心エリアは増加傾向となっています。つまり同じ市部でも人口の増減の濃淡がある訳です。

※東京都区部も1市として扱います

21大都市の人口ランキング(上位5位)及び人口増減

順位人口(2025年)2020年〜2025年の人口増減
1東京23区995万3,160人2.3%
2横浜市375万4,840人△0.6%
3大阪市280万8,624人2.0%
4名古屋市234万5,892人0.6%
5札幌市196万4,034人△0.5%

参照:総務省「令和7年国勢調査」人口集計速報

東京23区の人口動向——20区が増加・台東区8.0%・中央区7.5%、都心部で何が起きているか?

東京都区部の人口は995万3,160人で、このうち男性は486万7,138人、女性は508万6,022人で女性の人口の方が多くなっています。5年間で21万9,884人、約2.2%増加しました。この背景としては東京における主な産業構造として金融・情報通信・サービス業など女性が活躍できる職種・企業が多い事も要因となっています。

区別に人口規模を見ると、最も人口が多い区は世田谷区で約95万人、次いで練馬区76万人、大田区75万人と続きます。やはり面積の大きい区の人口が多くなっています。

東京23区人口ランキング

順位人口面積
1世田谷区95万6,608人58.05㎢
2練馬区76万1,587人48.08㎢
3大田区75万9,409人61.86㎢
4江戸川区70万5,063人49.90㎢
5足立区70万2,718人53.25㎢

参照:総務省「令和7年国勢調査」人口集計速報

東京23区のうち、人口が増加したのは20区、減少したのは3区(千代田・目黒・渋谷)となりました。

区別の人口増加率を見ると1位は台東区で8.0%の増加となりました。2位は中央区で7.5%の増加です。中央区は人口が戦後最多の18万人となりました。次いで江東区、墨田区など都心3区に隣接する区の人口が増えています。5位は港区となり、都心部の人口も増加してきている事が分かります。

東京23区人口増加率ランキング

順位2020年〜2025年の人口増加率
1台東区8.01%
2中央区7.52%
3江東区5.54%
4墨田区4.82%
5港区4.67%

参照:総務省「令和7年国勢調査」人口集計速報

人口減少社会でも不動産投資の需要が生まれるエリアはなぜ存在するか?マクロデータを読む判断軸

以上、国勢調査の速報から都道府県及び東京都区部の人口動向をざっと見てきました。

世の中には様々なデータが私達の生活を取り巻いています。本稿執筆時点(2026年6月10日)では日経平均株価などは連日高値を更新しており、今や7万円に迫る勢いです。こうなると多くの人は株は上がる、儲かるという錯覚に陥ってしまいます。AI関連銘柄などは大きく値上がりしていますが、一方年初来安値更新の銘柄も数多くあり、いわゆる「蚊帳の外」に置かれている方も多くいらっしゃいます。

また新築マンション価格も東京で平均1億5,000万円にまで上昇していますが、駅から遠かったり周辺に空き家が点在しているようなエリアでは値下がりしている物件も数多くあります。

今回の国勢調査を見ても、日本全体では人口が減少していますが、増えている所、ちょっと減った所、大幅に減ったところと三者三様です。また減った所の中でも増えているエリアも当然混在しています。つまりそこにはさらに細かい地域差が発生している訳です。

人口増減の要因は様々あり、横浜市や目黒区・渋谷区などでは、人口は減少しましたが世帯数は増加しており世帯人員数が減少してきていると考えられます。千代田区では世帯数も減少していますが、世帯人員の減少と不動産価格の上昇が影響している可能性もあります。

人口動向と共にそのエリアの属性を理解する事が不動産投資の立地エリア選定には重要であると考えます。

今後日本は長期で見ても人口減社会を迎えますが、地域格差がより鮮明化し、交通利便性の高い都市部などは人口の増加も見込まれます。さらに総人口が減っても単身世帯はより増加していきますので、単身者向け住宅の需要は長期に渡って高まっていくと考えられます。

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国勢調査のデータでエリアの人口動態を把握できたら、次は「そのエリアに実際に需要があるか」を具体的なデータで確認するステップへ進もう。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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