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最新!金利動向とマンション投資【プロが教える不動産投資コラム】

新型コロナは多くの都道府県でまん延防止の期間が延長されるなど依然予断が許されない状況が続いています。このような状況の下においても日本経済は大企業を中心に業績も堅調に推移しています。

今回のコラムでは景気回復局面における金利の動きについて考察してみたいと思います。

金融の引き締めは起こるのか

近年では世界的に金利は低い水準で推移し、各国の中央銀行による金融緩和政策は引き続きゼロ金利政策を導入する国も見受けられました。

米国なども同様で新型コロナに対する景気浮揚策としてゼロ金利政策がとられてきましたが、雇用の急回復などいち早く景気が回復しFRB(米連邦準備理事会)もや政策金利の引き上げや、その先には資産購入の圧縮も示唆しています。

また物価上昇の大きい英国では2021年12月に政策金利を0.1%から0.25%に引き上げました。主要国では初めて利上げが行われています。

米国の長期金利上昇とともに日本の長期金利も上昇の影響を受け始めています。 このように今後は徐々に金利上昇の動きが各国で広がってくると考えられます。

バブル時には大きく金利が引き上げられた

ここでは過去の金利の動向について振り返ってみましょう。

1990年頃にかけて発生した「バブル経済」では株価や地価は大きく上昇しましたが、バブルの名の通り、一般庶民からすれば景気における高揚感は実感できず資産を所有する人たちだけが大きな恩恵を受けた訳です。

政府は不動産市場においては金融機関による不動産会社向けの融資の規制(総量規制)、不動産税制における損益通算の規制などを行い、さらに日銀による金利の引き上げも実行されました。

1989年からは5回も金利が引き上げられ、公定歩合(現在の「基準割引率および基準貸付利率」)は2.5%から6%まで上昇しました。

このような事から株価は大きく値を下げ1989年12月の38,915円から1990年10月には20,000円近くまで下がりました。 地価・不動産価格も大きく下落してバブル経済が崩壊し、その後の日本経済は長くデフレの時代を迎えました。

アベノミクスの10年以上前からあったゼロ金利政策

バブル崩壊後、不動産価格や株価の下落、さらに円高が続き日本経済が大きく疲弊し「失われた20年」と呼ばれる時代となりました。

デフレ脱却のために公定歩合は1993年2月に2.5%まで引き下げられました。そのご後1999年2月には史上最低の0.15%となり「ゼロ金利政策」と呼ばれました。アベノミクスの始まる10年以上も前からゼロ金利政策があった事がわかります。2001年には資金供給量を増やす量的緩和も加わりました。

2012年12月に成立した安倍内閣による「アベノミクス」によっても一層金融緩和が推進されました。

マイナス金利はなぜ誕生したのか?

現在は「ゼロ金利」政策を通り越して「マイナス金利」が続いています。この世の中にマイナス金利という言葉が出現して多くの日本人が驚いたかと思います。筆者もその内の一人です。

大手都市銀行は当座預金の一定額を日銀に預ける制度がありますが、この当座預金の一部に日銀は銀行から利子を受け取る訳です。

つまり銀行から見ると個人や法人に資金を貸し出さないと収益に影響が出る訳です。そこで低金利でも貸し出したいという思惑から住宅ローン金利なども市場最低水準で推移してきた訳です。

銀行預金の金利も大きく変化

こうした政策金利の変化は銀行にお金を預ける際の預金金利にも大きな影響を与えました。金利の高かったバブル期の1990年頃は定期預金の金利はなんと5%もありました。

1,000万円預けて1年間の利息は50万円です。当時のマネー雑誌などでも、有利な資産運用法として「定期預金」を進めている記事も多く見かけました。

しかしそうした時代もそれ程長くは続きませんでした。バブル崩壊後は徐々に金利が下がり、政策金利が下がるに従い預金金利も大きく低下しています。

現在の金利を見て見ると、大手銀行の大口定期預金(1,000万円)の金利はなんと0.002%です。同じく1,000万円預けても利息はわずか200円です。

こうした預金金利の低さにより、多くの国民が資産運用に関心を寄せるきっかけとなりました。マンション投資もその内の一つと考えられます。

マンション業界に与える影響は

マンション業界に金利上昇はどのような影響を与えるのでしょうか。まずファミリーマンションなど居住用の住宅を購入する方の中には変動型ローンや固定型ローンを利用する方など様々です。今回の長期金利の上昇は10年固定などの固定型のローンを組んだ方に影響が及びます。

一方ワンルームマンション投資など投資用にローンを組む方の多くは変動型ローンを利用しているそうで、変動型ローンは短期金利に連動していますので今回の長期金利の上昇は影響は少ないと考えられます。

但し今後の物価上昇次第では政策金利である短期金利の上昇も可能性はありますので、そうした場合には繰り上げ返済やローンの組み換えなどの対策も必要となってくるのではないでしょうか。

今後の金利動向は?

長期金利については日銀が昨年の「3月に金利変動幅を上下0.25%程度に維持する」と表明しました。長期金利がゼロ%から0.25%程度上昇した場合、日銀は特定の金利で国債を無制限に購入して金利上昇を抑えるという方向です。

つまり金利上昇には一定の上昇幅があると考えられます。不動産投資家からすれば金利が上がる事は収支が圧迫されますが、岸田政権の言う民間企業の所得アップが実現すれば多少住宅の賃料が上がっても影響は軽微であると考えられます。

また投資家から見れば資産価値の上昇と金利上昇により若干ではありますが節税効果のアップもあり、総合的に考えればもし金利が上がってもその影響は軽微であると考えられます。

長期的な視点から見ると、多少金利が上昇したとしてもかつての高金利時代から見れば依然「低金利圏」である事は間違いなく、不動産投資をするにも適した時代が続くと考えます。

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